2025年に新たに日本へ受け入れた3カ国の学生のスピーチのご紹介

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パスウェイズ・ジャパンでは、今年度、シリア・アフガニスタン・ウクライナから合計21名の学生を新たに日本で受け入れました。
*今年度の受け入れ自立支援事業についてはこちらをご覧ください

いずれの学生も、母国での内戦や政治的抑圧等の中でも将来への希望を諦めずに強く持ち続け、その希望を日本への道に託しました。これから日本で学びながら自らの力を伸ばし、日本社会そして母国へ貢献することを目指しています。

ぜひ学生たちの思いを知っていただきたく、歓迎会で行った代表者6名のスピーチをご紹介します。


ケンナスさんシリア出身

※前半は日本語で、後半は英語でスピーチ

皆さん、こんにちは。私はケンナスと申します。本日はこのような貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。

私はシリアで生まれ育ちました。しかし、シリア内戦の影響で、私の生活は一変しました。街は危険に満ち、無差別な爆撃のために外出することすら困難でした。さらに、インターネットは使えず、電気や水といった基本的な生活インフラも不安定で、学ぶことができる環境ではありませんでした。それでも、私は教育こそが未来を切り開く鍵だと信じ、決して諦めることなく学び続けることを決意しました。

そのために、私は日本で学ぶ道を選びました。日本は世界でも最先端の技術を持つ国であり、規律ある社会の中で努力が評価される場所です。また、日本は才能やスキルを持つ人々を尊重し、その能力を最大限に活かせる環境が整っています。私はここで、自分の知識を深め、技術を磨き、より良い未来を築くための力をつけたいと考えています。

私の目標は、コンピューター工学で高い学位を取得し、世界に貢献することです。

また、30歳までに7カ国語を流暢に話せるようになることを目指しています。

言語を学ぶことで、異文化を理解し、より多くの人とつながることができると信じています。

現在、私は日本で学ぶ機会を得ることができました。これは、多くの方々の支えがあったからこそ実現したことです。この貴重なチャンスを無駄にせず、日々努力を積み重ね、いつか自分の知識とスキルを活かして社会に貢献できるよう、全力を尽くします。

本日は、お時間をいただきありがとうございました。


エマさんシリア出身

*自己紹介のみ日本語で、その後は英語で話しました

みなさん、こんにちは、

お集まりいただき、本当にありがとうございます。私の名前はエマです。今日、皆さんの前に立つことができ、本当にうれしく思っています。まず最初に、パスウェイズ・ジャパンと、この奨学金を実現してくださった皆様に深く感謝申し上げます。皆さんの支援は、私の人生を変えるだけではありません。私のような、失われたものを再建しようと決意している若者のために、コミュニティ全体に機会を生み出しているのです。

紛争が私に与えた影響
私はシリアで生まれたわけではありませんが、あらゆる意味で戦争を生きてきました。なぜなら、私の出身地では、戦争は単なる破壊ではなく、街路に到達するずっと前から心に根付いているものでした。

恐怖が火よりも早く広がり、沈黙が暴力よりも重く感じられる戦争でした。

世界中の人々がシリアについて耳にすることは少なくなりました。戦争が終わったと信じている人もいます。しかし、私たち若者にとっては、まだ終わったわけではありません。本当の戦いは始まったばかりです。学校は閉鎖され、夢は保留にされ、全世代が次に何が起こるかわからない状況に置かれています。

しかし、私たちは諦めません。武器を持って戦うのではなく、生き残るために戦います。学び、成長し、より良いものを築くために戦うのです。

私が日本への留学を選んだ理由
日本は常に回復力の象徴です。困難に立ち向かい、再建し、そのたびに強くなってきました。それが私を最も勇気づけてくれます。シリアにも同じ可能性があると私は信じていますが、前進するためには適切な手段が必要です。

私が日本に来たのは、この国の強さ、つまり再建する力、革新する力、そして平和と進歩が両立する未来を創造する力から学びたいからです。

しかし、私は自分のためだけにここにいるのではない。より良い未来を夢見ながら、その機会を得られないシリアの何千人もの若者たちのためにここにいます。

将来の目標
私の夢はシンプルですが力強いです。若い人たち、特に女の子に機会をつくり、たとえ最も困難な状況にあっても教育を受けられるようにしたいと思います。教育に投資することは、平和に投資することだからです。安定にも。国の未来に。

この奨学金は、その夢への第一歩です。そして、私はこの奨学金を当たり前だとは思いません。そしていつか、日本が他の国々に多くのものを与えてくれたように、私は自分の国だけでなく、世界に恩返しをするつもりです。

パスウェイズ・ジャパン、支援者の皆さん、そして教育の力を信じてくださる全ての皆さんに、改めて感謝します。皆さんは私の人生を変えただけではありません。一度失われた希望を取り戻す手助けをしてくれているのです。


オレシャさんウクライナ出身

*冒頭は日本語で、その後は英語で話ました

はじめまして。
ウクライナ出身で、24歳のオレシャです。よろしくお願いいたします。
今週ウクライナから日本に来ました。今年、リヴィウ国立工科大学を卒業しました。
2024 年1月から日本語を勉強しています。
日本で建築の勉強を続けるつもりです。そして、建築家として働きたいです。

まず最初に、戦争が私にどのような影響を与えたかをお話ししたいと思います。ウクライナでは、住んでいる地域によって、戦争の影響は異なるかもしれません。戦争についての理解を深めたいのであれば、ウクライナからのこのプログラムの他の参加者と話すことで、より広いイメージを得ることができると思います。

私にとって戦争は、教育を受ける機会という人生の重要な側面に大きな影響を与えました。私はウクライナで修士号を取得することができましたが、インフラへの砲撃のため停電が著しく、ほとんどの勉強はオンラインで行われました。建築家にとって、教育は資格取得に大きな役割を果たします。そのため、私は建築家として日本で勉強を続け、自分の技術に自信を持てるようになりたいと考えています。日本は先進的な建築手法の国であり、特に様々な緊急事態を想定した建物の設計は、ウクライナでも通用するものであり、また今後そうなっていくでしょう。日本には、プリツカー賞受賞者をはじめ、優れた建築家がたくさんいます。特に、非常事態にある人々を支援する社会的プロジェクトを行っている坂茂氏には、とても刺激を受けています。ウクライナで彼が地元の都市フォーラムを訪れた際、彼のアイデアを直接知ることができたのはとても幸運でした。

私が日本に興味を持った理由は建築だけではありません。子どもの頃から日本語に魅了され、自学や大学の語学サークルでも日本語を学ぼうとしてきました。日本語を学ぶことは、私の人生を通して追い求めてきた夢です。昨年から、先生と一緒に日本語を勉強し続けています。また、偶然にも私は日本で非常に発達している分野の趣味を持っています。ボルダリング(日本のクライミングは世界でもトップクラスですし、日本のジムも同様です)。そしてファッション(コスプレイベント、原宿のお祭り、東京ファッションウィークは私の大きな夢です)。山歩きや東京のストリートファッションなど、日本のこんな一面も見てみたいです。

パスウェイズ・ジャパンが、私が長い間夢見てきたこと、そして憧れ続けていることを実現する機会を与えてくれることに心から感謝しています。ですから、私は日本語をしっかり学ぶためにあらゆる努力を惜しみません。将来、日本の一流の学校で建築を学び、この分野のスペシャリストとして成長できることを目指します。

ご清聴いただき、ありがとうございました。


マルハリータさんウクライナ出身

*日本語と一部英語で話しました

皆さん、こんにちは。

私はウクライナの出身で、21歳のマルハリータです。

今日は、私の国ウクライナで起こった戦争と、それが私の人生に与えた影響についてお話したいと思います。

戦前、私はすでに1年間日本語をキーウ大学で勉強していました。

子どもの頃からアニメとかを見ていたので、日本語や日本文化に興味を持つようになりました。

しかし、ウクライナで戦争が始まったとき、戦争のことがいつも心配で、普通の学生のように勉強することができなくなりました。

状況が悪くても、心配があっても、私は学びたかったので、以前よりも勉強するようになりました。

そのとき、私の日本に対する情熱が認められ、留学するチャンスをいただいたのです。そのチャンスのおかげで半年間、日本に留学することができました。

この半年間は本当に素晴らしい時間でした。たくさんの人に出会い、たくさんの新しいことを学ぶことができました。日本人たちはとても親切で、すごくお世話になりました。この経験があったからこそ、私は絶対日本に戻ることを決めたのです。私は日本語を専攻しているので、日本や日本語について学ぶのに日本ほど適した場所はないと思っています。

今の目標は、言語を通じて人をつなぐ仕事ができるように勉強することです。特に、ウクライナと日本の関係を深めることにしたいと思います。

こうして勉強を続けることができるのは、多くの方々のサポートのおかげです。パスウェイズ・ジャパンと多くの方々から温かいご支援をいただいたことに心から感謝しています。皆さんのおかげで、私は日本で私の夢を続けることができています。

ご清聴誠にありがとうございました。このチャンスを大切にして、これからも頑張りたいと思います。


アミーナさんアフガニスタン出身)

*自己紹介のみ日本語で、その後は英語で話しました

皆さん、こんにちは

私の名前はアミーナ、アフガニスタン出身です。今晩、皆さんの前に立ち、私の話をすることができて本当に光栄です。この機会を作ってくださった皆さんに深く感謝しています。

私の国では、女性が教育を求めることは、果てしない暗闇の中で光を追い求めるようなものです。私もまた、男女差別、貧困、学校爆破テロの絶え間ない脅威など、日々の葛藤に満ちた平凡な生活を送っていました。しかし、このような困難にもかかわらず、私は夢を持ち続けました。教育が、私が憧れる社会に貢献する力を与えてくれると信じていたからです。

そして2021年8月、すべてが変わりました。私が知っていた世界は一瞬にして崩壊し、私は真っ暗闇の中にいました。かつて私を導いてくれた光、より良い未来への希望は消え去りました。何年もかけて培ってきた勇気と自信は消え去り、夢は手の届かないところへ滑り落ちていきました。

タリバンの支配により、教育への扉は閉ざされました。学校も大学も女性の入学は禁止され、私の自由は家の壁の中に閉じ込められました。これ以上事態が悪化することはないと思っていましたが、さらなる制限が続きました。女性は一人で旅行することも、公園を歩くことも、単に公共の場に存在することも禁止されました。今日、私たちがここに集ったように、何百万人のアフガニスタンの女性はこのような状況に置かれています。夢は悪夢に変わり、恐怖は勇気に取って代わりました。

しかし、私は信じられないほど幸運だったと思います。パスウェイズ・ジャパンは、私から奪われた教育を与えてくれただけでなく、私が失っていた勇気と自信を取り戻してくれました。タリバンの支配下で、私は自分がどうなるのかわからず、不確かな未来を恐れていました。しかし今、日本とパスウェイズ・ジャパンのおかげで、私は迷うことを恐れなくなりました。私は再び夢を見る力を取り戻し、明るい未来を思い描き、目指す自分になるために努力することができるようになりました。

タリバンがカブールを掌握したとき、彼らは女性を社会から抹殺しようとしました。女性の権利を剥奪し、メディアにおける声を封じ込め、学校や職場から追放し、家に閉じ込めようとしました。私たちを無にしようとしたのです。

しかし、私たちは無ではありません。私たちはたくましく、強い存在です。私たちは、すべての女性にふさわしい教育、自由、そして未来のために闘い続けます。
ご清聴ありがとうございました。


スリマンさんアフガニスタン出身

*冒頭と最後は日本語、それ以外は英語で話しました

みなさん、こんにちは。
スリマン と 申します。
私たちは アフガニスタン から 来ました。
日本に来ることができて、とてもうれしいです。

私たちは希望と決意、そしてより良い未来を築きたいという強い願いを持って日本にやってきたアフガニスタンの学生たちです。
私たち全員にとって、この瞬間までの道のりは長く困難なものでした。
やっと日本で桜を見ることができました。とても幸せです。夢のようです。

日本の春は美しく平和です。
一方、アフガニスタンについては悲しいニュースが多いです。
アフガニスタンと聞いて何を想像するでしょうか。
アフガニスタンは深い歴史と豊かな文化を持つ国です。
しかし、長い間、私たちの生活は紛争に翻弄されてきました。

戦争は国民、特に女性から機会を奪いました。
教育、仕事、そして基本的な自由さえも、手に入れることが難しくなりました。私たちの多くは、生き延びることが最優先され、夢などはるか遠くに感じられた時代に育ちました。希望の光は見えにくかったです。しかし、私たちは諦めなかったです。

自分の人生、家族の人生、そして国の未来を変えたい!私たちは何をすべきでしょうか?教育の力があれば、それができると思いました。今、アフガニスタンの女の子たちは学校で勉強することができません。
私たちが勉強できるのはとても幸運なことです。

教育は、私たちが学び、成長し、将来に備えることができる場所です。
私たちは、社会に貢献するための知識や経験、スキルを身につけたいと思っています。
テクノロジーの分野で働きたい人、ビジネスの分野で働きたい人、教育の分野で働きたい人など、夢はそれぞれ違います。しかし、目標は同じです。ここで学んだことを活かして、変化を起こしたいのです。

これからの道のりが簡単でないことは分かっています。
新しい言語を学び、新しい文化に順応し、故郷から遠く離れることは、私たちが直面しなければならない課題です。
しかし、私たちは懸命に働く準備ができています。
生活が困難であっても、私たちは前進し続けることができます。
小さな一歩でも、大きな変化を生み出すことができます。

私たちがここにいるのは、より良い未来を信じるからです。
自分たちのためだけでなく、アフガニスタンのために。いつの日か、私たちが学んだことを活かして国の再建に貢献し、何もない人々にチャンスを与えたいと願っています。

パスウェイズ・ジャパンの皆さん、先生方、日本の皆さん、そしてこの旅を支えてくださったすべての皆さん。
皆さんの優しさと寛大さがなければ、私たちは今日ここにいません。

私たちはここから前進します。
自分の夢のために!
私たち家族のために!
そしていつの日か、アフガニスタンのために!
このような機会をいただき、本当にありがとうございました。


学生たちは、今後2年間、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、京都、大阪、兵庫、岡山、島根、熊本、沖縄と日本各地に広がる受け入れの日本語学校で日本語を学ぶと共に、アルバイトや地域のコミュニティ活動などを通じて、日本社会との接点を広げていきます。そして、日本語力を身につけ、様々な経験を通して自己成長し、高等教育への進学・就職を目指していきます。

パスウェイズ・ジャパンでは、学生が日本で様々な困難を乗り越えながら、日本で自分の目指すキャリアを見つけ実現できるよう、伴走して行きます。