パスウェイズ・ジャパンでは、難民の背景を持つ若者が日本で未来への道を拓けるよう、日本国外から日本語学校に受け入れる「日本語学校パスウェイズ」プログラムを提供しています。
2025年3月下旬、今年から日本語学校で学ぶ、シリア、アフガニスタン、ウクライナの学生計21名が来日しました。(この後6月までに、手続き等で来日が遅れる2名を受け入れ予定で、今年の受入れ学生は合計23名となる予定です。)
母国での内戦や政治的抑圧等の中でも将来への希望を諦めずに持ち続け、ついに日本で新たな一歩を踏み出すことになりました。パスウェイズ・ジャパンでは、今後も日本で受け入れた学生が、日本で生活を立ち上げ、日本語力を向上させるとともに社会の様々な方と関わりを持ち、新たなキャリアを拓いていけるよう伴走していきます。

教育の機会を求めて 1300名の若者が応募
2025年度の「日本語学校パスウェイズ」には昨年を上回る1,349名の応募がありました。シリアからは、内戦とその後の政治的混乱で将来が見通せない中、日本でのキャリアに関心を持ち意欲的に日本語学習に取り組む若者が多く応募しました。アフガニスタンからは、タリバンの実効支配下で女性が中等教育、高等教育を受けたり、就労することができない状況から、進学・就職の機会を求めて、多くの女性から応募がありました。ウクライナでも、戦争状態が長引く中、大学等で日本語を学び、日本に高い関心を持つ学生から応募者が集まりました。日本での教育とキャリア形成の機会を希求する、意欲の高い多くの応募者から、書類選考と複数回の面接を経て、採用学生24名*が決まりました。
*うち1名はその後来日が困難となり辞退
*受け入れ学生決定と来日前の取り組みについてはこちら
日本での生活の立ち上げに向けたオリエンテーション 先輩学生によるサポートも
パスウェイズ・ジャパンでは、日本で受け入れた学生が日本での生活を早く立ち上げ、将来のキャリを拓けるよう、来日前からオリエンテーションを行い、来日後にも4日間の集中的なオリエンテーションを行いました。来日した学生のうち大学修了者は、日本語学校卒業後に日本での就職を目指します一方高卒者、または政変等による大学中退を余儀なくされた学生達は、日本語学校で日本語を学んだ後、大学や専門学校への進学を目指します。2年間に、それぞれの目標を日本で具現化できるよう、今後の目標設定や必要な準備のための情報提供を行いました。


初日には、日本語学校に在学中もしくは卒業して進学した「先輩学生」達が講師・ファシリテーターとなり、自身の経験から様々なアドバイスや情報提供を行いました。3カ国から28名が参加し、生活に役立つ情報、日本人とのコミュニケーションのポイントやアルバイトの見つけ方、勉強・アルバイト・進路準備を両立するための時間管理など、実際に経験した者だからこそ言える有益な情報が多く提供されました。新たに来日した学生にとっては、目指すロールモデルとの出会いの場にもなり、グループで話す時間はもちろん、休憩中にも交流が深まりました。


先輩学生によるオリエンテーションの後には、本プログラムと学生達を支えてくださるゲストをお招きした「新入生歓迎会兼卒業生祝賀会」も開催し、日本社会でのネットワークを築く一歩となりました。来日した学生の代表6名がスピーチを行い、母国での困難な状況の中でも希望を持ち続け、日本に来ることを選んだ理由と今後の目標を力強く話しました。一部の学生は日本語でスピーチを行い、日本で教育を続けることへの強い思いと、彼らの強い向上心に、参加者の方々も感銘を受けていました。また、2024年度の卒業生達も、進路を報告するとともに、これまで支えてくださった支援者の方々に感謝の思いを話しました。
その後、パスウェイズ・ジャパンの活動に支援をいただいているSAPジャパン株式会社、東京西南ロータリークラブ/(一社)志有会、シリアOV会の方から、お祝いの言葉をいただきました。また。新入生と卒業生には、ラッシュジャパン合同会社様からプレゼントが贈呈されました。
*スピーチの内容は後日掲載予定です。


パスウェイズ・ジャパンで受け入れた学生は200名に
パスウェイズ・ジャパンは、2017年にシリアから学生を受け入れたのを機に、アフガニスタン、ウクライナと受け入れる学生を広げてきました。そして、今年度の23名の受け入れにより、日本に受け入れた学生は200名になる予定です。
受け入れる日本語学校も拡大し、直接提携校が12校になりました。難民・避難民の学生の受け入れ地域は、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、京都、大阪、兵庫、岡山、島根、熊本、沖縄と広がり、日本各地で、難民・避難民の学生との繋がりが生まれます。
大学での受け入れも拡充
日本語学校への受け入れに加えて、2025年度より大学での難民・避難民の受け入れを推進するネットワーク「日本教育パスウェイズ・ネットワーク(JEPN)」が、日本国内在住の避難民を対象に、新たに「日本教育パスウェイズ」プログラムとして奨学生の募集を行いました。その結果、常磐大学、文京学院大学、龍谷大学、早稲田大学、及び先行して募集を開始していた国際基督教大学の5大学で、合計12名の難民の背景を持つ若者が、この4月より大学・大学院での高等教育に進みます。パスウェイズ・ジャパンは、「日本教育パスウェイズ・ネットワーク(JEPN)」の事務局を担い、各大学と協力して今後も彼らをサポートしていきます。
パスウェイズ・ジャパンでは、この春日本で新たな道を歩み始めた若者達が、未来を切り拓けるよう、その道のりを伴走していきます。そして、教育の機会を希求する難民・避難民の若者の受け入れがさらに広がっていくよう、教育機関や企業、行政など様々な組織・団体の皆様との連携を深めて、取り組みを進めていきます。
