2025年度に受け入れる学生が決まりました

パスウェイズ・ジャパンでは、難民の背景を持つ若者が日本で未来への道を拓けるよう、日本国外から日本語学校に受け入れる「日本語学校パスウェイズ」とすでに日本国内に住みながら高等教育の機会を探している方に機会を提供する「日本教育パスウェイズ」の2つのプログラムを提供しています。この度、2025年度からプログラムに受け入れる学生が決まりましたのでご報告します。

日本語学校パスウェイズ:昨年より応募が増加、受け入れも拡充へ

日本語学校で2年間学び、日本での進学・就職を目指す「日本語学校パスウェイズ」は、シリア・アフガニスタン・ウクライナの3カ国の若者を対象に行なっています。今回は、2024年度の19名から受け入れ枠を増やし、3カ国から24名を受け入れます。

受け入れ枠は拡大したものの、応募者数も増加し、昨年は1,022名でしたが、今年は応募総数が1,349名に上りました。シリアでは、長引く内戦により国外での生活が続く中、日本への関心が高く、日本語学習にも意欲的に取り組む若者が多く応募しました。アフガニスタンでは、これまでに引き続き、タリバンの支配下で女性が中等教育、高等教育を受けたり、就労することができない状況から、進学・就職の機会を求めて、多くの女性から応募がありました。ウクライナでも、戦争状態が長引く中、国外避難のニーズは高く、大学等で日本語を学び、日本に高い関心を持つ学生から応募者が集まりました。

日本での教育の機会を希求し、意欲の高い応募者が多いなか、書類選考と複数回の面接試験を経て、シリアから7名*、アフガニスタンから9名,ウクライナから8名が採用となりました。採用者のうち約半数は大学を修了し、日本語学校卒業後に日本での就職を目指します。残りの約半数は高卒、または政変等による大学中退者で、日本語学校で日本語を学んだ後、大学や専門学校への進学を目指します。
*シリア出身者7名のうち1名は手続きのため7月に来日予定

パスウェイズ・ジャパンでは、学生たちが、日本での生活を早く立ち上げ、それぞれの目指す進路を見つけて歩めるよう、来日前からのサポートを行なっています。来日前のオリエンテーションは早速第1回目が12月に実施され、今後、来日までの間に数回に分けて、来日までに必要な準備、来日時に必要な生活・文化に関する基礎知識、来日後の予定、日本語学習やアルバイト探しの心構え等について説明が行われます。

来日前日本語クラスも開始されており、シリア出身の学生には、トルコ在住のシリア人日本語教師による10日間の日本語合宿を12月下旬に行い、その後も、オンラインで授業を実施します。また、アフガニスタン、ウクライナの学生に対しても、経験が豊富な日本在住の教師よりオンラインで日本語授業を毎週実施しています。

(トルコで行われたシリア出身学生向けの日本語学習合宿の様子)

また、受け入れ人数の増加に伴い、受け入れ先の日本語学校も拡大しています。2022年度のウクライナ学生の受け入れの際にJSUS(ウクライナ学生支援会)有志校として連携が始まった、カイ日本語スクール、新宿日本語学校、東京工学院の3校とは、新たに継続的なパートナーシップを結び、今後も難民・避難民の学生の受け入れを担っていただくことになりました。

日本教育パスウェイズ:様々な背景の学生に高等教育の機会を提供

2022年度から始まったパートナーシップに基づき、ウクライナの学生への受け入れプログラムを提供する大学の中で、2025年春に新たに難民の背景をもつ学生の受け入れとを表明した大学、及び日本国際基督教大学財団と共に、新たに「日本教育パスウェイズ」という名称で、奨学生の募集が行われました。

常磐大学、文京学院大学、龍谷大学、早稲田大学、及び先行して募集を開始していた国際基督教大学の5大学で、合計12名の難民の背景を持つ若者に、大学・大学院での高等教育の機会を提供します。

国内で高等教育の機会を探していた難民の背景を持つ若者から多くの応募があり、ウクライナ、シリア、アフガニスタンのほか、ミャンマー等出身の若者からも応募がありました。選考が行なわれた結果、ウクライナ学生9名、シリア学生2名、アフガニスタン学生1名が採用となりました。

学生達は、今後オリエンテーションを経て各大学に入学予定で、すでに日本教育パスウェイズネットワークの大学で学んでいる学生達とのコミュニティの一員となるべく、2025年3月開催のJEPN学生リユニオン・デイにも参加予定です。

今年度の採用により、パスウェイズ・ジャパンがこれまでに受け入れた難民・避難民の学生の数は200名を超えます。学生一人ひとりの日本でのキャリアを拓く道に寄り添うと共に、日本での受け入れと教育・就職の機会を広げて行けるよう、引き続き教育機関、そして企業の方々と連携して取り組んでいきます。