2021年のタリバン政権によるカブール占領と、前政権の崩壊により、多くのアフガニスタン人が国外に逃れています。日本に繋がりがある850人以上の人々がアフガニスタンから日本に逃れてきましたが、アフガニスタンからの退避者であることでの公的支援はなく、多くの方々が日本で自立して生活することに困難を抱えています。
パスウェイズ・ジャパンでは、日本での教育を希望する日本国外の若者を日本語学校で受け入れる「日本語学校パスウェイズ」や日本在住者で日本に住む難民の背景を持つ若者の高等教育を支援する「渡邉利三国際奨学金」の提供を通じて、アフガニスタンの若者を支援してきました。
*アフガニスタン退避者に関する取り組みはこちらをご覧ください。
加えて、日本に避難しているアフガニスタン人や元留学生など、日本語を学ぶ機会がない方たちを支援するための日本語講座「アフガニスタン人のためのしごとの日本語コース」を2023年から実施しています。初級レベルのコースから開始し、日本語能力検定試験(JLPT)N3を目指すコースへと発展しています。これまで累計41名が受講し、日本語力を向上させるとともに、はじめてアルバイトに採用される受講者が出る等しています。

本プログラムは、約3ヶ月間、難民向け日本語教育に豊富な経験を有する公益社団法人日本語普及協会(AJALT)の日本語の講師とのオンライン授業と課題提出を通じて、JLPT N3レベルを習得するための日本語の学習を進めていきます。受講者は、日本でのキャリアを築くという高い意欲をもって、仕事や研究の後の平日夜に授業に臨んでいます。約4ヶ月間のコース終了後も、履歴書作成や面接練習等、就職につなげるためのフォローアップ講座を実施します。
第1期は、6名の枠に対し、元留学生、帰国困難となった留学生、大使館・JICAの元職員など28名の応募がありました。N3レベルとなると文法も複雑になってきますが、授業では、講師の説明に対して熱心に耳を傾けるとともに、質問も活発に寄せられました。受講生が、これまで職場等で触れてきた表現との違いを確認するなど、実生活に結びつけながら日本語を習得しようと学んでいる様子が伺えます。
受講生・Hさんの声
2020年に日本の大学の博士課程に留学し、その後帰国予定でしたが、政変により帰国が難しくなり、急遽仕事先を探すことになりました。現在は、大学在学時の繋がりで事務の仕事をしていますが、職場からは日本語力の向上が求められています。また、将来は自分の専門を活かした仕事をしたいと考えています。
「このコースを受講したことで、日常生活のさまざまな場面で日本語を活用できるようになりました。例えば、買い物や病院での手続きがスムーズに行えるようになり、自信を持ってコミュニケーションを取れるようになりました。また、近所の方々とも挨拶や簡単な会話ができるようになり、日本での生活がより楽しく、充実したものになっています。」
2025年1月から始まった第2期では、6名の募集に対し過去最多の35名から応募があり、N3レベルの日本語力まで身につける日本語教育が求められていることがわかりました。
アフガニスタンからの退避者に対しては、まだ日本国内での理解も低く、支援も限られているのが現状です。パスウェイズ・ジャパンでは、アフガニスタンの退避者への理解を深めていくとともに、厳しい状況に置かれた退避者が、日本語力を身につけ、地域社会とのつながりを強めながら、就職し、自立して生活していけるよう支援をしていきます。
※本事業は、真如苑および公益財団法人アジア福祉教育財団様のご支援によって実施されております