増え続ける世界の難民の数

故郷を追われた人の数 1億2,320万人(2024年末時点)
73% が近隣諸国に避難
難民の状況に置かれた若者たちは、法的な地位も日々の生活も不安定な状況に置かれ、将来への道筋を突然絶たれ、先が見えない状況に置かれます。学び、成長し、働くという希望を失います。
難民として母国を離れざるをえなくなった若者たちは、母国で打ち砕かれた未来への希望を日本への道に託し、日本で日本語や専門分野の学びを深め、自立し、社会に貢献することを目指します。逆境を乗り越え、新しい土地で人生を切り拓く難民の学生は、共に学ぶ学生、就職先となる企業、そして広く日本社会全体にも新しい道を示してくれます。
パスウェイズ・ジャパンが受け入れる国々の状況
シリア 2011年から10年以上にわたり内戦状態が続き、2024年のアサド政権崩壊後も、政情が不安定なため、難民の人数は610万人に上っています。トルコ、レバノン、ヨルダンの周辺国に逃れていますが、いずれの国でも法的な地位が保証されず、不安定な状態に置かれています。
子どもの頃から日本に行きたいと思っていましたが、シリアの戦争により、トルコへ逃れなければならなくなりました。その後、トルコでは、シリア人に対する差別が始まり、生活は日に日に悪化していきました。パスウェイズ・ジャパンのプログラムを知り、自分の夢を追いかけることを願って応募しました。(2023年来日 マイサムさん)

アフガニスタン 2021年からタリバンが政権を掌握する政治的な混乱から、580万人が国外に逃れています。特に、タリバンの政策により、女性の高等教育・就業の権利が制限され、将来の道を絶たれた女性は国外に逃れる機会を強く望んでいます。
アフガニスタンで前政権が崩壊した後、女性は就労や教育が禁止されました。私は仕事を失い、通っていた大学院修士課程も諦めざるを得なくなりました。そして、パスウェイズのプログラムに参加して祖国の状況から逃れることを決意しました。(2022年来日 ヴァズィリさん)

ウクライナ 2022年2月のロシアの侵攻による人道危機の終わりが見えない中、国外に逃れている人は510万人に上ります。
ロシアによる爆撃で私の生活は一変しました。当時は首都キーウ大学で日本語を学んでいました。日本語教師になることが夢でした。日々戦況が変わる中で、将来への不安ばかりが募りました。日本語ができて何の意味があるのかと悩みました。でも、日本に来て、夢を取り戻すことができました。(2022年来日 リリアさん)

新たな解決策:
教育や就労を通じた受け入れ(パスウェイズ)
政府ではなく民間主導で受け入れを広げる動きで、カナダでは1980年代からスタートしました。2018年に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」以降、政府によるプログラムを補完するプログラムとして推奨されています。2023年に開催された「グローバル難民フォーラム」では今後5年間で、年間20万人の難民を教育と就労を通じて受け入れることが目標として掲げられました。教育や就労を通じた受け入れは、難民・避難民に生活再建の機会を提供するだけでなく、難民・避難民が社会の一員となって働くことで、受け入れ社会にとっても新たな人財を得る機会となり、難民・避難民と受け入れ社会の双方に解決策を創出します。
アメリカを始め、従来一定の難民を受け入れて来た国々の政策変更により、各国政府による難民受け入れの道筋は、昨年までと比べて非常に狭まっています。しかし、知識や技能をもった難民・避難民が、留学や就労を通じて第三国に移動、貢献していくパスウェイズという仕組みは、各国へ着実に広がりをみせています。

加えて、難民の背景をもつ方々の高等教育への進学率は7%と低く、国際社会ではグローバル難民フォーラムにて、「2030年までに難民の高等教育進学率を15%」に上げることを目標に掲げ、各国で取り組みが進められています。
パスウェイズ・ジャパンのアプローチ:
日本で教育を通じた難民・避難民の受け入れ
国外から日本への道筋(パスウェイズ)、そして難民となる経験を経た若者たちの未来への道筋を作ります。
日本語学校や大学と連携して受け入れ、日本での進学・就職に必要な日本語力を習得するための教育を提供

在学中からアルバイト等で自活しながら日本での就労経験を積めるよう支援し、進学・就職までキャリア支援を行い、自立につなげる

様々な困難を乗り越え学び、多様な経験・スキルを持った難民・避難民の若者は、日本社会にとっても新たな「人財」となり、社会に貢献

来日前から進学・就職まで、受け入れた学生を自立に導くモデル構築
母国での様々な困難を乗り越えて日本にきた若者が、日本で自立できるよう、来日前の準備から、生活の立ち上げ、アルバイト探し、進学・就職への支援と一貫した支援をしています。2024年度からは、進学・就職に向けたサポートを拡充させ、個々の学生が日本で目指すキャリアを実現させる仕組みを構築しています。
来日前オリエンテーション
オンラインでの日本語教育や日本での生活立ち上げに向けた情報を提供します。

来日後オリエンテーション
先輩学生も講師を務め、アルバイト探しや家計管理、時間の使い方、日本でのコミュニケーションのポイントなど日本の生活の立ち上げに向け豊富な情報を提供します。支援団体とのネットワークも構築します。

定期面談
個々の学生の状況を理解しながら、キャリア実現に向けた行動をサポートします。

就活支援
就職説明会を開催し日本の就活について早期に情報提供すると共に、自己分析の準備の機会を提供します。その後、就活メンターシップや就活セミナーへの参加を通じて、目指すキャリアを明確にし、実現を目指します。

進学支援
大学学部進学に必要となる「日本留学試験」(EJU)の受験準備を支援するための「PJチューター制度」を開始。大学生・社会人のボランティアと、サポートを必要とする受験生を一対一でマッチングして、オンラインで学習支援を行います。

進学・就職し、日本で自立した生活を送り、社会に貢献する存在に
ネットワーク構築(リユニオン・デイ)
様々な学生、支援する日本社会の方々とつながり、悩みを共有するとともに、進路の実現に向けてサポートします。
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成果:日本で広がる教育パスウェイズ
<受け入れ人数 >
応募者は毎年1,000人を超え、日本での教育を望むより多くの人に機会を提供できるよう受け入れを広げています。

2024年度:17名
2025年度:21名 
これまでの合計 205名(帯同家族含む)
<卒業生:113名>
すでに約4割が就職等をし、社会で貢献する人財に育っています。今後、進学した学生も就職をし、さらに日本社会で活躍していきます。

就職/フリーランス 42名、就活中13名、大学院(修士・博士)10名、大学13名、大学非正規課程3名、専門学校8名、進学準備中3名、その他(第3国に移住・本国帰国等)21名
<日本社会での広がり>
難民・避難民の学生を受け入れることで、学びの場が多様化され、共に学ぶ他の学生にとっても多様な文化・価値観に触れる機会になります。難民・避難民の学生は、様々な困難を乗り越え希望を失わない強い意志を持ち、多様な価値観・スキルを持った人財であり、人手不足に直面している企業にとっても、新たな人財との出会いの機会になります。

受け入れ教育機関
日本語学校数:22校
専門学校:2校
受け入れ大学数:28大学

就活支援への参加企業:12社
(2025年4月時点)
日本での教育パスウェイズを広げるために
世界で起きている紛争や政治的な混乱は、遠くの世界で起きているようにも思えますが、教育を通じた難民の受け入れは、日本にいる私たちだからこそできる支援になります。ぜひ、日本で生きる難民の若者に関心を寄せていただき、私たちと一緒に難民の若者が未来を切り拓けるよう、アクションを起こしていただけますと幸いです。
知る・伝える
活動の様子をソーシャルメディアで発信しています。日本で学び未来を切り拓く学生の姿をより多くの方に知っていただけるよう、ぜひ、いいね!などで広げてください。
協力する
日本での生活では、住居、日本語習得、仕事など様々な社会でのつながりが必要です。学校や企業、お住まいの地域で、アルバイトやインターンシップ等、新しい機会をいただけると幸いです。
寄付する
パスウェイズ・ジャパンの活動は個人・団体の寄付に支えられています。難民・避難民の若者が日本で未来を拓く道のりを寄付で支える「伴走サポーター」を募集しています。
