パスウェイズ・ジャパンでは、シリア、アフガニスタン、ウクライナの若者を日本語学校や大学に受け入れ、日本語を習得した後、進学・就職と次のキャリアを切り拓けるよう支援しています。受け入れる若者のうち、約半数は大卒で、日本語学校卒業後に日本での就職または大学院進学を目指します。残りの半数は高卒、または政変等による大学中退者で、日本語を学んだ後、大学や専門学校への進学を目指します。
今年度は、進学志望者(既卒者含む)が18名おり、2025年1月21日現在、10名が進路を決定しています。(大学院 2名、大学学部 4名、専門学校2名、大学日本語別科等 2名)残りの学生も、奨学金の枠を獲得した上で進学先の確定に取り組むなど、それぞれ3月までに進路が決められるよう取り組んでいます。
来日してから日本語学校で学ぶ2年間という限られた時間の中で、進路を決定していくには、様々なハードルがあります。
学生たちは、日本での生活と学校に慣れるのも束の間、学業とアルバイトの両立をしながら、情報収集をし、進学に向けた準備を進めて行かなくてはいけません。母国とは入試や大学の制度もまったく異なる新しい国で、自分の将来を考えて、希望にあった進学先を見つけて、受験に向けて日本語や、日本語による専門科目の力を伸ばすことは非常に大変です。
加えて、高等教育に進学するための学費の課題も解決する必要があります。パスウェイズ・ジャパンでは、利用できる奨学金等の制度を紹介すると共に、応募に向けて「日本語能力検定試験(JLPT)」や「日本留学試験(EJU)」など必要な試験の準備を促しています。
進学の支援にあたっては、過去に大学受験を経験した先輩学生も大きな役割を担っています。リユニオン等の機会で先輩学生から体験談が共有されるとともに、そこで繋がりが作られることで、先輩学生から後輩学生へのアドバイスが行われています。
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その中で、2022年9月にシリアから来日し、日本語学校で学びながら、UNHCR難民高等教育プログラム(Refugee Higher Education Program – RHEP)の奨学金を獲得して、今春より大学に進学することになったザイドさんの声を紹介します。
ザイドさんは、2024年12月にシリアでアサド政権が崩壊した際に、朝日新聞の取材に応じました。合わせてご覧下さい。
アサド政権崩壊「お祝いまだ早い」 日本に住むシリア人、喜びと不安
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ザイドさんの声
私はシリア出身ですが、トルコから日本に来て2年間、多くの挑戦と成長を経験しました。まず、日本語を学ぶ中で、文化や言葉の違いに戸惑うこともありましたが、少しずつ自信を持てるようになりました。また、初めてのアルバイトを通じて、責任感や時間管理の大切さを学びました。仕事と勉強を両立する中で、多くの困難を乗り越えながら成長できたと感じています。そして努力の結果、神奈川大学システム数理学科への進学を果たしました。この2年間は、挑戦と成長の連続であり、日本での生活を通じて得た経験は私の人生にとって貴重なものとなりました。
パスウェイズ・ジャパンでは、今後も、日本に受け入れた難民・避難民の若者が日本で希望の進路を実現できるよう、一人ひとりに寄り添いながら支援していきます。
また、2025年からは、大学受験を目指す学生を対象に「日本留学試験(EJU)」の受験に向けてボランティアの方々に学習のサポートをしていただく「PJチューター制度」を開始しました。詳しくはこちらをご覧ください。
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