カナダ大使館、日本国際基督教大学財団(JICUF)と「難民のための技能に基づくパスウェイズ-長期的な社会統合に向けた課題と解決-」開催(2日目)

*1日目の報告はこちら

11月21日に開催された会議2日目は、教育や就労による「技能」に基づいた難民のの受け入れの道筋(パスウェイズ)を拡大するため、日本国外のモデル戦略について議論が進められました。カナダ代表からは、カナダが進める就労に基づいた受け入れプログラム、「経済流動性パスウェイズ・パイロット(Economic Mobility Pathways Pilot)」について、タレント・ビヨンド・バウンダリーズからは、カナダ、オーストラリア、欧州の主に英語圏で進められる就労パスウェイズのプログラムについて、さらにオーストラリアのディーキン大学からは、難民のためのメンターシッププログラムにより就労を含めた社会統合をサポートする活動について、成果と今後にの取り組みが紹介されました。これらのプログラムは、技能に基づくパスウェイズによって、労働力不足に直面する国々の課題を、難民・避難民に安定と生活再建の機会を提供することを通じて解決するという、革新的なアプローチを取っています。成功の鍵となる要素として、雇用主と採用される難民との事前のマッチング、受け入れ後の語学教育を含む社会統合について、十分な支援体制を構築し、必要に応じてが準備し、必要に応じてメンターシップを含む個別の支援 を提供する必要性が強調されました。

その後のグループ・ディスカッションでは、出入国在留管理庁、JICA、フィリピン法務省、国連機関、カナダや欧州、韓国、日本の教育機関・市民社会組織等、様々な国・立場の参加者が一同に会し、在留資格や難民・避難民に対する社会的制度など、同様のモデルを日本に適用する上でのの課題について議論が行われました。 これらの課題に対処するために、インパクト・ソーシング、メンターシップ・プログラム、語学や技能の研修などの解決策が提案され、セクターを超えた包括的な協力関係を育むことの重要性も確認されました。

また、2日間の会議を振り返る形で、日本が教育・就労を通じた難民受け入れに対して、制度や社会情勢が整いつつあること、技能に基づく難民のためのパスウェイズは、単に難民に教育と雇用を提供するだけでなく、社会に多様性と活力を与え、難民・避難民と受け入れ社会の双方に解決策を創出するものであるという点が、参加者の間で広く共有されました。

最後に、日本にも固有の課題がある一方で、この会議から得られる教訓は国境を越えて広く共有されるべきであると、今後のアクションを促す形で会議は締めくくられました。会議を通じて提示された主なアクションとしては、難民の労働市場への参入を容易にするための語学・職業訓練プログラムの強化、政府・NGO・民間のステークホルダー間での連携強化、雇用者と難民のマッチングと受け入れ後の社会統合支援まで可能なプログラムの構築、ビザ申請や住居などの制度的課題に対処するための政策改革を推進していくことなどです。さらに参加者達は、難民・避難民という言葉に対するネガティブなイメージを変え、社会に貢献する可能性を持つ人々であることについて、広く社会で理解を促進することの重要性についても、合意しました。

セクターを超えたパートナーシップを活用して、このような具体的なステップを踏むことで、難民・避難民が社会と経済に貢献する存在として社会で認知され、潜在的な能力を最大限に活用して、包摂的で豊かな未来を共に創造することができるとの期待の中で、会合は終了しました。本シンポジウムは、国境とセクターを超えた対話を促進し、グッドプラクティス(好事例)を共有して、日本そして他の非英語圏諸国における難民・避難民のためのパスウェイズ拡大に取り組む、国際的なプラットフォーム構築のための出発点となりました。

参加者のスザンさん(シリア出身)からのコメント:

「難民のための技能の基づいたパスウェイズ」会議に参加できたことは、本当に感動的な経験でした。この会議では、政府、NGO、民間企業、難民など、さまざまなセクターから多様な声が集まり、人道的支援と教育や雇用を通じた難民受け入れ(パスウェイズ)を組み合わせた解決策を探ることができた。特に、スキルに基づく難民受け入れ(パスウェイズ)がいかに難民に力を与え、労働のニーズに同時に対処できるかの例として、革新的なモデルが強調されたのは心強く感じました。難民が社会貢献者として潜在的に持っている能力を活かし、包括的なシステムを構築するためには、連携と長期的なコミットメントが重要であることが強調されました。私は人脈を広げ、複数の関係者や支援者と有意義な対話をすることができました。このイベントは、難民を歓迎し持続可能な社会を育むために、組織として、政策立案者として、あるいは個人として、私たち全員が果たすべき役割を強く確信させるものでした。会議で共有された洞察が、この難民受け入れ(パスウェイズ)を前進するための実行可能なステップを呼び起こすことを願っています。