2024年度 受け入れ自立支援事業の学生が来日しました

パスウェイズ・ジャパンでは、シリア、アフガニスタン、ウクライナの難民の背景を持つ学生を日本に受け入れるプログラムとして、2年間日本語学校で学んで進学または就職を目指す「日本語学校パスウェイズ」と、日本語教育及び高等教育を提供する大学で学ぶ「大学パスウェイズ」の2つのプログラムを実施しています。今年は、3カ国から22名の学生を、新たに日本に受け入れて、支えていくこととなりました。

「大学パスウェイズ」の学生5名は3月中旬に、また「日本語学校パスウェイズ」の学生17名は4月上旬に来日し、日本での生活の一歩を歩み始めています。

以上に加えて、日本に避難していたウクライナ学生7名を新たに大学パスウェイズに採用しており、2017年の事業開始より日本に受け入れ、共に歩んでいる学生の総数は177名となりました

<2024年度 受け入れ・自立支援事業>
■大学パスウェイズ:12名
・ウクライナ:11名 (国外からの新規来日:4名、国内の大学・日本語学校からの進学:7名)
・シリア:1名(国外から新規来日)
【受け入れ教育機関】関西大学、創価大学、大東文化大学、東京女子大学、文京学院大学、龍谷大学

■日本語学校パスウェイズ:17名
・シリア:6名
・アフガニスタン:6名 (うち1名は4月中旬に来日予定)
・ウクライナ:5名 
【受け入れ教育機関】ICLC国際言語文化センター、ABK学館日本語学校、京都民際日本語学校、倉敷外語学院、仙台国際日本語学校、東京国際言語学院、東京明生日本語学院、日本国際工科専門学校日本語課、船橋日本語学院

2024度の2つのプログラムへの募集では、シリア、アフガニスタン、ウクライナの3か国合計で1,000人を超える応募がありました。内戦や紛争、抑圧により、母国や難民として逃れた国で希望が描けない中、日本で未来を切り拓こうとする高い意欲を持った多くの若者から応募があり、書類選考と面接を経て、合計31名が採用されました(うち2名は手続き等の問題で来日が困難となり辞退)。特に、アフガニスタンではタリバンの支配下で女性が中等教育、高等教育を受けたり、就労することができない背景もあり、今回来日を果たした6名全員が女性となりました。日本に受け入れることで、彼女たちが今後高等教育を受けたり、仕事をみつけて自立する可能性を拓くことができています。

パスウェイズ・ジャパンでは、学生たちが日本で安定した生活を早く立ち上げ、2年間の日本語教育で日本語を習得し、進学や就職を経て将来日本で自立した生活を送れるよう、来日前から来日後まで一貫したサポートを提供しています。来日前から、オンラインで基礎レベルの日本語学習を実施するとともに、カルチャーショック、日本語学習アルバイト探しの心構えなど様々な情報提供をしました。(※来日前の取り組みについてはこちらをご覧ください)来日後には集中的に3日間のオリエンテーションを行いました。オリエンテーションでは、キャリア形成、メンタルヘルス、災害への備え、ジェンダーに基づく事件への備え、アルバイト面接演習など、難民の背景を持つ学生が今後日本で生活するために必要な情報を提供しました。また、オリエンテーションの一部はそれぞれの出身国の先輩学生達が担い、自身の経験から日本の文化や習慣への適応、日本語学習、アルバイト、進路に向けた準備などアドバイスをしました。来日した学生にとっては、今後の日本での生活に向けて多くの情報が得られると共に、頼りとなる先輩学生達とのネットワークを築く機会にもなっています。

また、来日の翌日には本プログラムと学生達を支えてくださるゲストをお招きした「来日歓迎会」も開催し、日本社会でのネットワークを築く一歩となりました。来日した学生の代表6名がスピーチを行い、母国での困難な状況を乗り越えて、日本に来ることを選んだ理由と今後の目標を力強く話しました。半数の学生が日本語でスピーチを行い、参加した方々からも、日本語力と向上心に感銘する声が多く上がりました。また、シャピーロ財団のエド・シャピーロさんも、米国から参加してくださいました。

学生たちが学ぶ大学・日本語学校は、宮城・千葉・東京・京都・岡山・沖縄と日本各地に広がっています。この後、学生たちは、受け入れ大学・日本語学校のある地域に移動し、新たな住居に入居の上、住民票登録等の諸手続きを行った後、各教育機関で日本語の学習を始めます。そして、同時にアルバイトを探して働き始め、日本社会との接点を広げていきます。

パスウェイズ・ジャパンでは、学生たちが生活を立ち上げるサポートをすると共に、今後も定期面談をし、学生たちが様々な困難を乗り越えながら、日本で自分の目指すキャリアを見つけ実現できるよう、共に歩んでいきます。