日本の支援者が語る難民・避難民の若者の姿|活動報告会レポート3

パスウェイズ・ジャパンでは、11月に事業にご協力くださっている方々、伴走サポーターとしてご寄付をお寄せいただいている方々をお招きし、「活動報告会」を開催しました。その模様を3回にわたりお届けしています。

▶これまでのレポート:
来日8か月 難民・避難民の若者の成長~活動報告会レポート
就職を決め、日本と母国に貢献することを目指す難民・避難民の若者

最終回となる今回は、日本語学校の先生、企業の担当者、進学支援のチューターなど、多様な立場から若者を支える皆さまの声をご紹介します。受け入れの現場で見えてきた成長や課題、共に歩むことで生まれる可能性について伺いました。

倉敷外語学院・東京国際外語学院 青島様

2022年からウクライナの学生を受け入れ、今年からはアフガニスタンの学生も受け入れています。受け入れた学生はまじめな学生が多く、授業が終わった後も、学校の図書室などで自習などし、来日した時には上手に話すことができなかった学生たちも卒業までにはN2に合格するなど、それぞれの夢に向かって、進学・就職しています。

授業のときは、積極的に意見を述べて、本校はアジアの学生が多いのですが、その学生たちにとっても、新鮮な視点や異文化交流の起点になるなど、すごくよい影響が出ています。卒業後、ウクライナの学生とネパールの学生が一緒にご飯を食べたりとまだ交流が続いていて、職員一同もすごくうれしく思っています。

受け入れを始めたきっかけは、難民・避難民の方が日本語を学ぶことによって、彼らの未来が少しでも拓けるのであれば、日本語学校として何かお手伝いができるのでは、と考えたのですが、本校の在校生や受け入れ側の私たちにもすごくよい刺激を受けていて、相互にとってとてもよい機会となっています。これからもパスウェイズの活動に賛同し、受け入れを続けていきたいと思っています。今年来日された皆さん、今年就職・進学される皆さん、引き続き、頑張ってください。応援しています。

SAPジャパン株式会社 熊手様

先週末、大相撲でウクライナ出身の力士が初優勝し、昇進したというニュースを見て、学生の皆さんの姿を重ねていました。継続して努力し続ける、異文化で言語が違う中で継続してやり続けることで未来を切り拓くということを体現していると思います。皆さんの挑戦は貴重なことだと思います。小さいことも続けることで未来と大きな変化が開けてくると思いますので、挑戦を続けていってほしいと思います。

私たちは、SAP Educate to Employというプログラムを行っています。デジタルのスキルをオンラインで学び、キャリア形成や雇用につなげることを目指すプログラムです。サクセスケースを目指して、パスウェイズ・ジャパンとの取り組みを継続して深めていきたいと思います。IT、デジタル、AIに興味があれば、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

最後に、「早く行きたければひとりで行け、遠くまで行きたければみんなで行け」とアフリカのことわざにあるように、ここにいる皆さんでその遠くまで目指して行ければと思います。これからも応援しています。

PJチューターとして活動した東京大学 柘植様

今年1月から半年間、チューターとして活動し、日本留学試験(EJU)の総合科目を市販の教科書を解説しながら教えていきました。自分自身は特別なスキルや経験があったわけではなく、学生さんと一緒に考えながら進めていきました。

私が担当した学生は、とても優秀で、経済の分野などはよく理解されていて、学ぶ意欲もすごいなと感じていました。一方で、日本留学試験は難しい試験だとも感じていて、なじみのない日本史や、問題文が長くて難しかったりということもあり、半年間では、日本留学試験を突破し進学を決定するまではできなかったのが残念でした。

最初は、難民とされる学生とコミュニケーションが取れるのか、正直不安に思っていたのですが、話してみると、日本語をよく勉強されていて、アルバイトをしながら勉強をし進学を目指しているという姿勢に、私自身にも刺激になり、力になりたいと思いました。今後また学習支援の機会があれば、私自身も勉強して、進学する学生の力になれたらと思います。

難民・避難民の学生・卒業生、支える日本の支援者の方々のお話をうけ、イベントに参加した方々からも難民・避難民の若者への励みとなるあたたかなコメントが寄せられました。

  • どのような状況の中、このプログラムに申し込みをしてきているのか、とても伝わってきました。ベストを尽くそうと真摯に向き合われている様子が強く印象に残っています。
  • 今年3月に来日した学生の皆さんが、当初は英語でコメントされていたにもかかわらず、流暢な日本語で自分の言葉で質問に答えていた姿に、強い志と努力を感じました。
  • オンラインでの参加でしたが、建築を学ばれているお話など、直接伺うことができて、学生さんを身近に感じました。日本で安全に勉強をして欲しいと改めて思いました。
  • 今年就職を決めた学生や卒業生の話を伺い、日本での生活に慣れながら、自分自身の目標を持ってさまざまな挑戦をされている姿に大変感銘を受けました。
  • 頑張っていることは、社会に溶け込むこと。言語を学ぶだけではなく上達のために暮らしや文化にも慣れていくことを重要視していることが印象的でした。また、それぞれの専門を活かした進路に進まれていて、生活が充実している様子が伝わりました。
  • 日本語学校の先生やチューターの方が、パスウェイズの学生はとっても良い刺激となっている、ディスカッションなどで新しい視点を与えてくれる、と言っていたこと。難民・避難民に対して支援するということ以上に、お互いが良い影響を与え合って成長していけるということに気付かされました。実際に日々、若者と関わっている先生の言葉にはとても説得力がありました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。イベント当日は、日本で新しい未来を切り拓こうとする若者と、それを支えようとする支援者の方々が集い、「教育を通じて難民を受け入れる」という取り組みがさらに広がっていく力を感じました。

パスウェイズ・ジャパンでは、これからも教育機関、企業、支援団体、そして個人の皆さまと連携し、難民・避難民の若者が日本で学び、働き、未来へと歩んでいけるよう取り組んでいきます。

現在、ご寄付を通じて難民・避難民の若者の歩みを支える「伴走サポーター」を募集しています。

よろしければ、ご寄付という形でも難民・避難民の若者が希望に向かう道を一緒に歩んでいただけましたら幸いです。

皆さまのあたたかいご支援・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

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