来日8か月 難民・避難民の若者の成長|活動報告会レポート1

パスウェイズ・ジャパンは、この1年間、多くの皆さまのご支援とご協力に支えられて活動を進めてきました。先日、その歩みを直接お伝えする場として、事業に携わってくださっている関係者の皆さまや、伴走サポーターとしてご寄付いただいている方々をお招きし、「活動報告会」を開催しました。当日は、当団体のプログラムを通じて来日した学生・卒業生約20名も参加し、会場とオンラインを合わせて約50名が集いました。

イベントでは、来日して8か月の学生が日本語で自身の経験と今後の目標を語り、就職を決めた卒業生は挑戦の道のりや未来への展望を共有しました。また、若者たちを日々支える支援者の方々からも、それぞれの視点で見た成長のエピソードが紹介され、温かな対話と交流の時間となりました。

3回にわたり当日の様子をお届けします。

活動報告会 集合写真

まず、代表理事の折居より2025年の活動ハイライトと2026年に向けた活動についてお話ししました。2025年は22名の若者を受け入れ、これまでの受け入れ人数の合計は200名を超えました。加えて、進学・就職を果たす卒業生も増えています。2026年度の募集には2,000名以上の応募があり、約30名の受け入れを予定しています。
▶学生の応募状況についてはこちらをご覧ください

今後の新たな一歩として、世界で様々な人道危機がある中で日本での難民・避難民の若者の受け入れを進めていくこと、また就活に取り組む学生が増える中で、企業と連携し就活のためのメンターシップを拡充していくことをお伝えしました。

続いて、今年来日した学生2名が登壇しました。祖国を離れ、日本で学ぶことを選んだ理由、来日後の生活で感じた喜びや困難、そして未来へ向けた目標まで、それぞれの言葉で語ってくれました。
来日時は英語でコミュニケーションを取っていた2人ですが、この日は日本語で参加者の方の前で話すことに挑戦。8か月の歩みの中で積み重ねてきた努力と成長が、その言葉から力強く伝わってきました。

シェゴファさん(アフガニスタン出身)

アフガニスタンの大学で建築を勉強していましたが、残念なことに国の状況が変わってしまいましたので、大学を卒業できませんでした。現在も国では女の子たちは高校や大学で勉強することができません。だから、勉強を続けるために、私はいつも奨学金を探してきました。パスウェイズ・ジャパンのプログラムに応募し、教育のチャンスをもらいました。

私は奨学金のおかげで、今年、新しい国に来て新しい言語を学ぶことになりました。言語を学ぶためには、まず文化を学ぶことが大切だと思います。私は日本語や日本の文化をよく分かるように、いつも社会の中で溶け込んで、毎日日本語を使っている人たちと本当に交流して、勉強しながらアルバイトもして、だんだん日本語が分かるようになってきました。今でも日本語を完全に話すことは大変なんですけど、 間違っても日本語が上手になれるように、これからも頑張っていきます。

残念なことに、国では大学を卒業できませんでしたので、私の来年の目標は、建築を学ぶ大学に入ることです。そのために日本語の勉強に集中し、日本語能力試験の準備をしています。将来の目標について、私はいつも日本の建築に興味がありました。日本の建築はモダンデザインとクラシックデザインをつなぐ架け橋のような存在だと思います。そして日本を選んだ大きな理由の一つは日本の建築でした。日本の建築に意味のある貢献をしていきたいと思います。

奨学金をいただいて、私たち学生は勉強を続けるチャンスを与えられただけでなく、自分の将来を築くための力ももらいました。パスウェイズ・ジャパンと支援してくださる皆様に心から感謝しています。これからもよろしくお願いします。

オレシアさん(ウクライナ出身)

日本に来た理由はいくつかあります。前から、日本の文化に興味があって、日本語を勉強したいと思っていました。もう1つの大きな理由は、もちろん戦争です。命や健康の危険があるだけでなく、生活のあらゆる面がとても不安定になります。停電があると、勉強や仕事を続けるのが、とても難しくなります。たとえば、最近はエネルギーインフラへの攻撃が続いて、私の家族や友達は、1日に電気が6時間しかありません。そのような状況では、成長したり前に進んだりするための環境がほとんど不可能になります。

今年の一番大きな出来事は、日本への引っ越しでした。家族からこんなに遠く離れて生活するのは、私にとっては初めてです。日本に来る前に日本語を勉強していましたが、来たばかりのころは、ほとんど話すことができませんでした。言葉だけでなくて、文化を理解することも大事だと思っています。今も少しずつ日本の文化や環境について学んでいるところです。自分が今暮らしている社会や文化についてもっと知りたいと思います。

来年は日本語や日本の文化をさらに勉強していくつもりです。必要な日本語のレベルの試験にも合格して、仕事探しを始めたいと考えています。これまでウクライナで建築の仕事をしていたので、日本でも建築の仕事をしたいと思います。

私は今、日本で勉強できて、自分のキャリアを続けていることにとても感謝しています。しかし残念ながらウクライナの状況はまだよくなる見通しがありません。ですので、これからも皆様のご協力をお願いしたいと思います。

二人の話から、母国での戦争や政変という困難な状況でも希望を持ち続け、日本で教育を受けるという道筋を見つけた強い意志、そして懸命に日本語と文化を学び、成長しようと歩む様子が伺えました。

こうした歩みは、多くの皆さまの支援と協力があってこそ実現しているものです。私たちはこれからも皆さまと共に、難民・避難民の若者たちの進学・就職・自立への歩みを支えていきます。

次回は、今年就職を決めた学生・卒業生の話をお届けします。

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