「シリア・アフガニスタン学生リユニオン・デイ」開催

パスウェイズ・ジャパン(PJ)では、日本に受け入れた学生たちを呼び集めて、自分を振り返り、他の学生や社会の様々な人々とのネットワーキングを行い、さらにキャリアについて考えるために、毎年3月に「リユニオン・デイ」を開催しています。今年は、「大学パスウェイズ・ネットワーク(JEPN)」としてウクライナ、シリアそして日本の学生が参加する「JEPN学生リユニオン・デイ」と、日本語学校に在籍・卒業するシリア・アフガニスタンの学生を対象とした「シリア・アフガニスタン学生リユニオン・デイ」の2回に分けて開催しました。本レポートでは、「シリア・アフガニスタン学生リユニオン・デイ」について紹介します。
*「JEPN学生リユニオン・デイ」についてはこちらをご覧ください。

今回のリユニオン・デイは、今後のキャリアプランニングをテーマに、高等学校への進学と就職の2つに分かれて、セッションを進める形となり、シリア・アフガニスタンの学生・卒業生17名と現在就職している1名が、日本の各地域から参加しました。会場は、公益財団法人世界宗教者平和会議日本委員会(WCRP)にご提供いただきました。過去来日時のオリエンテーションも同じ会場で行われてきているため、今回は日本での生活の始まりとなった場所に戻る「ホームカミングデー」のような雰囲気の1日となりました。

進学をテーマにしたグループでは、大学・専門学校で学ぶ先輩学生より、学校の探し方、入試に向けた日本語と各科目の準備、奨学金の獲得の仕方など、自身の体験をもとに詳細な情報提供が行われ、現在日本語学校に在籍する学生からも多くの質問が寄せられました。

就職をテーマにしたグループでは、前半、NPO法人Welgeeのスタッフをスピーカーにお招きして、日本での就活に向けて必要な準備や、日本の企業が国際人財に期待すること、これまで難民の背景を持つ人々の就職が実現した事例を話してもらいました。参加者達は、今後必要な準備や取り組むべき課題を明確化することができました。後半は、就活を経て今年4月に就職する学生、過去1年働いてきた卒業生入社する学生、また現在就活をしている学生が、自身の経験を話し、後輩の学生達にエールを送りました。

シリアとアフガニスタンの学生達の間では、先輩・後輩の繋がりもできてきており、新規来日の学生のオリエンテーションの一部も、先輩学生が担っています。「リユニオン・デイ」の終わりには、翌週行うオリエンテーションに向けて、日本での生活の工夫や日本語学習のコツなど、先輩としてのアドバイスや役立つ情報をまとめていきました。

会の最後には、これまでシリアとアフガニスタンの学生の受け入れと日本での生活に際して、ご協力いただいた受け入れコミュニティの方々をお招きし、学生の卒業・進学・就職を祝うレセプションを開催しました。イスラム教のラマダン中であったため、日没後最初の食事となる「イフタール」を参加者全員で中東料理を囲んで堪能し、参加者は相互に久々の再会の時を楽しみました。

その後、学生一人ひとりから、進路や近況、今後の目標を話してもらいました。参加者の中には今年就職する学生が2人いました。アフガニスタンの女性は、来日後の日本語学習や体力仕事だったアルバイトなど様々な苦労を振り返りながら、「自分が母国で学んだ専門分野につながる仕事にやっと就くことができた」と喜びを話してくれました。また、日本語学校卒業後に「浪人生活」を経て大学に進学するシリアの男性は、進路を考え決定していった道のりと今後の夢について話しました。大学在学中の学生達も、1年間の振り返りと共に、今後日本で学びたいことや目指すキャリアについて語ってくれました。また昨年来日し、1年目を終えた学生達も、今回は日本語で近況を報告してくれ「もっと日本語力を上げて、自分の専門性を活かした仕事を見つけていきたい」と話してくれました。

学生達は、近況報告の折々に、ここまで支えてくれた周囲の方々への感謝を伝えると共に、同じように日本で学んでいる仲間にも「母国に帰れないからこそ日本で頑張るしかないと思います」「大変なこともあると思いますが、共に頑張っていきましょう」と励ましのメッセージを伝え合っていました。

会の中では、2017年にシリアの学生の受け入れを開始した時からご支援をいただいているWCRPとシリアOV会の参加者からもお話しをいただき、学生達に応援のメッセージが送られました。出席者の方の中には、来日直後の生活の立ち上げから関わっている方も多く、学んだ日本語で力強く今後の目標を話す学生達の成長を見て、驚きと共に喜んでくださったかと思います。

毎年3月末に新規来日の学生の受け入れを行っているため、参加した学生の中には「今日が日本に来た記念日」という学生も多くいました。家族と離れ単身で日本に住む学生にとって、このような同じ背景を持つ学生達や受け入れコミュニティの存在は、日本での生活での大きな支えになっています。

今後もパスウェイズ・ジャパンでは、日本に受け入れた若者達が、学生・卒業生同士、さらに社会の様々な人々とネットワークを築いて生活し、自分の目指す進路を見つけ実現できるよう、若者達と共に歩んでいきます。