4年に1度の難民に関する国際会議「グローバル難民フォーラム 」が、12月13ー15日までスイス・ジュネーブで開催され、代表理事の折居が参加してきました。4回に分けてフォーラムの参加報告をお届けします。
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この日は、就労パスウェイズに関する分科会、難民の高等教育関する分科会、さらに教育パスウェイズと企業との連携に関する関連会合に出席しました。「可能性を解き放つ:難民の就労を通じた移動へのスポットライト」の分科会では、カナダ、オーストラリア等でのプレッジが紹介され、まだパイロット段階にある取り組みをどのように拡大できるのかという点で議論が交わされました。今回カナダでも、新たなパイロットプログラムの実施が発表されました。就労パスウェイズについては、日本でもいくつかパイロットの取り組みが進められていますが、日本語教育をどの段階でどのレベルまで、だれがその費用を負担して行うのか、企業での雇用がうまくいかなかった場合にどのようにサポートするのか等の課題を、解決する必要があります。パスウェイズ・ジャパンが進めている「日本語学校パスウェイズ」では、大卒で社会人の学生は、2年間日本語学校で無償の日本語教育を受けた後、多くがビジネスレベルの日本語を身に着けて就職を果たしており、今後も日本で可能な就労パスウェイズとして、一つのモデルを提示してきていければと考えています。
続いて参加した「難民の高等教育と自立:2030年までに就学率15%達成」の分科会では、難民の学生、またトルコ、エチオピア、ドイツ等の事例発表に加えて、日本政府のシリア難民留学生受け入れプログラムについて、JICA国内事業部大学連携課の中澤さんより発表が行われました。発表では、就職して活躍する卒業生が体験を話すビデオが紹介されましたが”We are not issues, we are solutions(僕たちは課題(となる存在)ではありません。僕たちは解決策です。)”の言葉が印象的でした。さらに、話している本人が難民のユースの組織EmPATHyの代表としてGRFに参加していたため、会場では日本でのシリア難民受け入れの成果が、広く理解されたように思います。政府のプログラムでも、現在は来日後にまず1年間の日本語教育が行われ、その後大学院在学中に就労支援が行われることにより、多くが卒業後就職を果たしており、またIT分野でシリアやトルコと日本を繋いで仕事をしている卒業生もいること等が紹介されました。加えて、日本政府のプログラムの特徴として、他の教育プログラムではあまり行われていない、家族の帯同を認め、家族支援をしてきたことも紹介され、子どもが一緒に来日することで、日本で教育を受けられ、難民の教育という点で一石二鳥の効果が望める点も紹介されていました。
パスウェイズ・ジャパンのプログラム、政府のプログラムとも、卒業後の就職と自立まで責任をもってプログラムを運営し、留学の在留資格で来日した難民が、就労の資格を得て継続して日本社会で自立して暮らせるようにしていることが特徴といえると、今回改めて実感しました。この点で、就労支援をデザインに組み込んでいるのが「日本モデル」と、各国に提示できたのではと思います。