パスウェイズ・ジャパンでは、シリア・アフガニスタンの学生が、パートナーの各日本語学校より学費免除の協力を得て2年間学び、その後の高等教育への進学や就職につなげる日本語学校パスウェイズ・プログラムを展開しています。2023年3月29日-4月3日にプログラムに在籍する学生と卒業生のリユニオンと、2023年3月に新たに来日した学生のオリエンテーションを実施しました。学生たちが進路に関する情報を得て将来について考えると共に、先輩学生と新規来日の学生の関係を築く機会になりました。
シリアの学生は2017年から2022年までに35名(*1)、アフガニスタンの学生は2022年より3名を受け入れてきました。2023年度は新たにシリアから5名(*2)、アフガニスタンから5名がプログラムに採用されました。アフガニスタンの学生のうち3名は女性で、タリバン政権下で女性が高等教育を受けることが禁じられている中、本プログラムは、教育を受け未来を拓く道となっています。
*1:2017年から2021年6月までは難民支援協会の一事業として実施
*2:うち1名は遅れて2023年10月来日予定
先輩学生のリユニオンでは、共同事業実施団体世界宗教者平和会議(WCRP)のご協力を頂き、シリアの学生14名とアフガニスタンの学生3名が集い、日本語学校でのプログラム終了後の進学や就職に関して、パスウェイズ・ジャパンのスタッフからの説明を受けた後、各自が希望する進路に向けて動くプランを考えました。
翌日からは新入生を迎えたオリエンテーションを行いました。初日は、前日に集まって準備をしていた先輩学生達が講師となるオリエンテーションを行いました。ハラールに即した食事や限られたアルバイトからの収入をやりくりする方法など生活面でのアドバイスのほか、アルバイトの見つけ方や勉強との両立方法、将来の進路に向けて必要な準備や勉強方法、来日した目的を忘れずモチベーションを維持することの重要性など、これからの生活に必要となることを自身の経験を交えながら話してくれました。日本の人とのコミュニケーションや関係を構築する方法など、文化の違いの乗り越え方も、先輩学生の視点からアドバイスがあり、新入生にとっては、日本での生活への理解を深めるとともに、より具体的に自身の今後の生活を想像し準備する機会となりました。卒業生からは『「友人」の考え方が、日本社会と我々の社会では異なる』との重要な指摘もなされ、参加した学生からの多くから賛同の拍手がされる場面もありました。
夜には、本プログラムへの寄付者や助成団体、受け入れ日本語学校や支援団体の方、卒業生等約30名をゲストにお招きした懇親会を開催しました。会の中では、新入生が自身の母国での経験と日本に来ることを決めた理由、そして将来に向けた抱負について、素晴らしいスピーチをしてくれました。ビザの発給の都合で来日が間に合わなかったアフガニスタンの学生4名もオンラインで参加し、日本での生活への期待を話しました。また、会の後半では、日本語学校でのプログラムを終え、大学・専門学校に進学や就職をする生徒がスピーチを行い、支えてくださった日本語学校の先生方へ感謝の思いを述べると共に、他の学生にも応援のメッセージを送りました。新入生と卒業生には、支援をいただいているラッシュジャパン合同会社様からプレゼントが贈呈されました。なお、初日のオリエンテーションおよび懇親会の開催にあたっては、東京YMCA様に会場を提供いただきました。
その後、新入生にはさらに2日間にわたって、パスウェイズ・ジャパンスタッフより、在留資格、文化・習慣、ジェンダーに関する課題、メンタルヘルス、災害への備え、キャリア・プランニング、アルバイト探し等、日本での生活についてオリエンテーションを行い、アルバイト面接の準備としてやさしい日本語での履歴書作成や面接演習の機会も提供しました。オリエンテーションでは、Airbnb様に会場を提供いただくと共に、社員の方々にボランティアとして面接演習などの協力をいただきました。
オリエンテーションを受けた後、留学生達は、住居探しと入居支援を受けてシェアハウス等に入った後、すぐに受け入れ日本語学校での授業を受け始めています。さらに、学校の授業を受けながら、パスウェイズ・ジャパンのサポートを受け、住民票や社会保障登録、銀行口座開設、携帯SIMカード購入など、日本で生活立ち上げのための各種手続きを進めました。
そして、来日が遅れていたアフガニスタンの4名の学生も4月上旬には来日がかない、別途一連のオリエンテーションをうけた後、日本での生活をスタートさせています。
その後、一部の学生達は4月中には青果店等でのアルバイトを見つけて働き始めた他、他の学生も日本語学校での授業と並行して、アルバイト探しを進めています。
パスウェイズ・ジャパンでは、今後も日本で新たな生活を始めた学生たちが、日本での生活の困難を乗り越え将来に向けて進んでいけるよう、受け入れ先の日本語学校や様々な団体と連携しながら、支援していきます。
*受け入れ事業および留学生のインタビューはこちらをご覧ください