世界各地で紛争や人権侵害が続き、故郷を離れて避難生活を送る人々は今も少なくありません。避難が長期化する中、これまで多くの難民・避難民を受け入れてきた欧米諸国でも、受け入れ制度の見直しや縮小の動きが見られます。また日本においても、外国人の方々を差別・排除しようとする風潮が見られるようになっています。
こうした状況の中、パスウェイズ・ジャパンは、教育を通じて難民・避難民の若者が日本で学び、将来につながる新たな道筋を築くための取り組みを進めています。教育を通じた新しい受け入れの可能性や、日本で学び、働き、それぞれの道を歩んでいる難民・避難民の若者たちについて知っていただく機会として、活動説明会を開催しています。
今回の説明会では、まず代表理事の折居から、教育を通じた難民・避難民の受け入れの意義と、パスウェイズ・ジャパンが進める受け入れモデルについて説明しました。続いて、今年春に来日した学生を含む、最近の活動や学生たちの状況について紹介しました。

その後、アフガニスタン出身のナザリさんが登壇しました。ナザリさんは2025年に来日し、日本語学校で学び、今年の10月から日本の企業で働いています。9月に開催されたイベントでは、日本語学校での経験やこれから日本の企業で働く意気込みを話しました。
ナザリさんの話

Q. 日本に来る前の生活の状況とパスウェイズのプログラムに応募した理由を教えてください。
日本に来る前、アフガニスタンの企業でインフラ整備の仕事をしていました。 アフガニスタンの各地で行われているプロジェクトに関わり、 大学で学んだ土木工学を活かして仕事してきました。またNGOなどの非営利団体で働くこともありました。しかし最近アフガニスタンの状況が 大きく変わって、それまでのように自分の専門知識を活かして働くことが難しくなりました。私は以前日本の大学院で土木工学を勉強して、修士課程を修了しました。その経験として、日本の建設エンジアリング分野では先進的な技術が使われていることを知り、もっと日本の技術や仕事の進め方を学びたいと思うようになりました。また以前は日本語で勉強していたので、日本で 生活したり日本の企業で働いたりするためには、日本語がとても重要だと感じていました。 そこでパスウェイズのウェブサイトを見て、このプログラムに応募しました。選ばれた 時は、本当にもう1度新しい人生を始めるチャンスをもらったと感じました。 日本に来てからまず日本語を身につけること、そして将来日本の職場で自分の経験や専門知識を活かして働くことを目標にしてきました。
Q. 来日した直後、特に大変だったことは何ですか。
日本に来てから1番大変だったことは言語の壁でした。市役所に行く時、病気になった時、買い物に行く時、自分が伝えたいことをうまく伝えられなかったり、相手の説明や指示を十分に理解できなかったりしました。日本で生活するためには日本語ができることが本当に大切だと実感しまし た。日本語の勉強を始めて特に難しかったのは 漢字です。私の国の言葉には漢字のような文字が入ってなかったので本当に大変でした。最初はこんなたくさんの漢字を見て覚えるのは無理じゃないかと思いまし た。でも毎日少しずつ日本語の勉強を続けることで、だんだんできるようになりました。また日本語学校に通いながらアルバイトをすることも最初は大変でした。勉強と仕事のバランスを 考えて、毎日の予定を決めて取り組んで、少しずつ両立できるようになりました。そして パスウェイズのスタッフや学校の先生や、そして経験のある友達からたくさん サポートをもらいました。私は来日した時からできるだけ早く日本語を身につけたいと いう目標がありました。だから困難をただの壁だと考えるのではなく、成長するためのチャンスだと考えるようになりました。
Q. 日本語学校卒業後の進路、就職に向けてどのように準備しましたか。
日本語学校で勉強しながら就職活動を始めてきました。 私は日本語学校を卒業した後、日本で就職することを目標としてきました。私はこれまで土木工学を学び、アフガニスタンの公共事業などのインフラ関係の仕事をしてきました。また日本の大学院で土木学を勉強し、修士課程を修了しました。そのため、これまでの専門知識や経験を活かしながら、日本で新しい技術や仕事の進め方を学びたいと考えていました。就職活動では、まず自分の経験を整理して、履歴書や職務経歴書などの必要な書類を準備して、面接では自分の経験や将来やりたいことを日本語で説明できるように練習しました。日本学校に通いながら、就職活動するのは簡単ではありませんでした。学校の先生やパスウェイズのスタッフにいつも相談しながら、1つずつ準備しました。そして今年の10月から日本の企業で建設関係の仕事を始めることが決まりました。これまで学んでいた土木学の専門知識やアフガニスタンの仕事の経験を活かしながら、日本の現場で新しいことを学んでいきたいと思っています。仕事が決まった時はとても嬉しかったです。同時に、これから日本語学校で勉強したことをこれから実際の職場で使っていくことになるので、仕事を始めてからも日本語の勉強を続けたいと思っています。特に職場では日本語だけではなく、日本の仕事の文化やコミュニケーションの仕方も学びながら、周りの人から信頼される社会人になりたいと思っています。
Q. 日本語学校の生活で思い出に残っていることを教えてください。
日本語学校で1番思い出に残っているのは、先生やクラスメイトと一緒に時間を過ごしたことです。 最初は日本語で自分の考えを伝えることが難しくて、授業中に先生から質問されても、言いたいことをうまく日本語でできないことがたくさんありました。でも毎日授業を受けてクラスメイトとは日本語で話したり、先生に質問したりするうちに少しずつできるようになりました。特に印象に残っているのは勉強だけではなく、クラスの中で色々な国の人と一緒に学んだことです。それぞれ違う文化や考え方がありますが、日本語という共通の言葉を使ってコミュニケーションを取ることでお互いを理解できるように なりました。
また、私は後から入ってきた1年生の学生をサポートする機会もありまし た。自分が最初に日本に来た時に困った経験があるので、後輩が同じようなことで困って いる時には、できるだけアドバイスしたり、分からないことがあったり一緒に考えたりしました。その経験として、最初は難しく、誰かに助けてもらっていた自分が、今度は誰かを助ける方になれるということを実感しました。
日本語学校で過ごした時間は単に日本語を勉強した時間ではありませんでした。日本語を使って、人とつながることや色々な人から学ぶことの大切さを知ることができた時間だったと思います。だから日本語学校で出会った先生や友達、そして一緒に勉強した仲間との時間は、これからも大切な思い出になると思います。
Q. ナザリさんは1年生が来日した時にもサポートをしてくれましたが、アフガニスタンの学生が感じる課題と、日本で学ぶことの価値を教えてください。
アフガニスタンの学生が感じる大きな問題の 1つは、教育や仕事の機会が少ないことです。現在、アフガニスタンでは、若い人が自由に勉強したり将来のキャリアを選んだりすることも難しくなったことです。そして、日本にくる学生にとっては日本語も大きな課題だと思い ます。私自身もそうでしたが、日本語は私たちが慣れている言語とは大きく違うので、話せるようになるまでには、ちょっと時間がかかります。私は1年生の学生のサポートをする機会がありました。その時、自分が日本に来たばかりの頃に困っていたことを思い出しながら、生活や勉強についてアドバイスしたり、 困っていることを一緒に考えたりしました。その経験として小さなサポートでも誰かにとって大きい力になることを学びました。また、日本で学ぶ価値は、日本語や専門知識を学ぶことだけではないと思います。色々な人と出会い、新しい文化を知り、自分の可能性を広げることでことができます。 特にアフガニスタンの若者にとって日本で学ぶ機会は将来への自信や希望につながる大切な機会だと思います。
Q. 今後の目標を教えてください。
今後の目標は、短期的には会社に入って、日本語を身につけたいと思って、そして職場での専門知識や仕事の進め方をうまく学びたいと思います。 将来的にはインフラや建設の分野では、さらに経験を積んで、より大きな責任を持てるようになりたいです。そして、いつか日本で得た知識や経験を自分のキャリアだけではなく、アフガニスタンの発展に、他の若い人たちを支えることにも活かせたらと思っています。日本に来ることは私にとって新しいチャンスでして、これからはそのチャンスを大切にして、自分自身が成長するだけではなく、将来は誰かに新しいチャンスを与えられる人になりたいです。
【質疑応答】
ナザリさんのお話を受け、参加者の方からも様々な質問が寄せられました。

Q 10 月からどのような仕事をしますか。
建設会社で働く予定です。特に日本の全国でインフラプロジェクトが行われている会社です。
道路やビルや海上のインフラプロジェクトにかかわる会社です。私は、主に施工管理の仕事をします。 10月から1 年間半ぐらいは勤務地が東京で仕事をします。そしてプロジェクトによって日本の全国で働きます。
会社には、英語で話している外国人もいますし、同じ大学を卒業した友達も働いていますが、私は日本人と一緒に働く予定です。だから、英語ではなく日本語で仕事を進めたいです。私は長期的に日本語の勉強を続けたいと思います。今まで勉強してきた日本語のレベルでは足りないと思って、その後仕事しながら日本語の勉強を続けたいと思います。
Q ナザリさんが早く日本語を習得できたのは、どうしてですか。
私は同時に、日本語学校で勉強してきたので、そしてアルバイトしながら、ひまな時間があった時に自分の部屋でも勉強してきたので、少しずつできるようになりました。(アルバイトは)最初はコンビニとレストランでアルバイトをしてきたんですけど、そのあと、レストランの仕事をやめて、今までコンビニで働いてきました。日本人と外国人と一緒に毎日仕事しながら話してきたので、また色々なお客様が来るので、お客様と話したり、僕ができないことがあったりすると勉強してきたので、少しずつ、今も足りないけど、ちょっとできるようになりました。
Q 女性の活躍が大切だと感じていますが、ナザリさんはどうお考えですか。
現在は、仕事の状況がちょっと変わってきたので、男性も働いたらいいと思いますし、外の責任は男性もやらないといけないと思います。家での色々な仕事は女性もやらないといけないと思います。生活がうまく進められるよう、女性と男性も仕事をやらないといけないと思います。
Q 学校に通いながらアルバイトをしたり、就職活動することは大変だったと思います。 就職活動では何社くらい面接をして、どれくらいの時間を使って準備をしたか教えてください。
私は、日本語学校で勉強しながら、就職活動を始めてきたので、困っている時に、パスウェイズのスタッフや先生といつも相談していました。そして必要な書類を準備して、色々な会社に応募して、私は1回面接あって、その面接に合格できました。 面接の準備は大体1年間半ぐらいかかって、色々な私の今まで働いたことについて、専門知識や将来やりたいことについて、色々な質問をされました。経験を持っている友達やパスウェイズのスタッフ、先生に相談して、就職活動をしてきました。
Q 日本の文化や日本人の習慣で 驚いたことや、好きなところを聞かせてください。
自分の国の文化と比べて、全然日本の文化は違います。 違うところがたくさんありますので、1番驚いてきたのは、電車に乗る時に、日本人が静かになって、いつも本を呼んだり、そういうことが1番驚いたことでした。
Q 日本の高校生に伝えたいこと、知って欲しいことはありますか。
伝えたいことは、皆さん、できるだけ頑張って勉強して行って、その挑戦を続けて、その挑戦から成長することができます。1番伝えたいことはそれです。
Q アフガニスタンでインフラ整備に関わる仕事をされていたと思うのですが、具体的にどのような整備をされていたのか、どういったプロジェクトをしていたのか教えてください。
主にアフガニスタンの公共事業所で建設エンジニアとして仕事してきました。アフガニスタン全国で色々な インフラプロジェクトや道路、橋、トンネルなど色々なインフラプロジェクトが作られています。私は8年間以上、この組織で仕事をしてきました。インフラプロジェクトに関わる仕事をしてきました 。
Q 最後に、参加してくれた方へのメッセージをお願いします。
難民や難民の若者を支援することに関心を持ってくださっている皆さんに感謝を伝えたいです。私が日本に来たばかりの頃は、分からないことがたくさんあり、色々な困難がありました。周りの人 たちに支えてもらったことで、勉強を続け、日本語も上達し、今では日本で働くという新しいチャンスを得ることができました。時々自分がするサポートは小さいと思うかもしれません。でも困難な状況にいる人にとっては、小さなサポートや1つのチャンスが、その人の人生を大きく変えることがあります。私自身がその1つの例だと思います。パスウェイズからいただいた機会によって、私の人生の方向が大きく変わりました。これから、アフガニスタンや他の国の若い人たちにも勉強したり、働いたり、自分の未来を作ったりする機会が増えてほしいと思います。私たちのことに関心を持ち、 支えてくださっている皆さんに本当に感謝しています。皆さんのサポートは私たちに機会だけではなく、未来への自信や希望も与えてくれました。私の話を聞いてくださって、本当にありがとうございました。

今回は、高校生、大学生、支援団体の方など、様々な年齢や立場の方に参加いただきました。パスウェイズ・ジャパンの活動紹介とナザリさんのお話しをうけ、下記の感想が寄せられました。
・学生さんの力強いメッセージに私がエンパワーされました
・ご自身のこれまで母国で培われた能力を生かした進路に決まったとおっしゃっていたことに、とても感銘を受けました。自分の能力を生かす就職が可能だという希望を感じさせていただきました。
パスウェイズ・ジャパンでは、今後も、イベント等の開催を通じて、難民・避難民の若者の姿や教育を通じた受け入れの取り組みについて紹介していきます。ぜひお気軽にご参加ください。
◆次回のイベント
次回は、12月17日(木)20:00~21:00に開催します。詳しくはこちらをご覧ください。


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