難民・避難民の若者30名の採用を決定~民間主導の「教育パスウェイズ」で、学びと就労への道を拡大

公益財団法人パスウェイズ・ジャパン(所在地:東京都文京区、代表理事:折居徳正)は、難民・避難民の若者を教育を通じて受け入れる「教育パスウェイズ」の取り組みとして、2026年度に日本語学校に受け入れる30名の採用を決定しました。シリア、アフガニスタン、ウクライナ3か国の若者が今春来日を予定しており、日本語学校で2年間学んだ後、日本国内での進学・就職を目指します。
現在、世界で紛争や人権侵害により故郷を離れざるをえない難民・避難民の数は、過去最多の1億2,320万人に達し、その約80%は18歳以下の若者・子ども達です。一方で、これまで多くの難民・避難民を受け入れてきた欧米諸国では受け入れ枠を縮小する国が増え、将来を閉ざされた若者たちが、教育を受けて能力に見合った将来の道筋を見出すことは一層困難になっています。一方日本社会では、少子化により日本語と文化を理解し、社会の一翼を担う人々が求められています。こうした状況を受け、パスウェイズ・ジャパンは、日本において難民・避難民の若者が「学びを通じて自立する」ための選択肢を広げるべく、受け入れ規模を拡大し、新たな教育パスウェイズの提供を進めてまいります。
*UNHCR「グローバル・トレンズ・レポート2024」

難民・避難民を受け入れる新たなモデル「教育パスウェイズ」

パスウェイズ・ジャパンが取り組む、難民・避難民の若者を教育を通じて受け入れるモデルは、「教育パスウェイズ(Education Pathways)」と呼ばれています。これは、政府主導の難民の第三国定住制度を補完して、民間が主体となって教育と就労を通じて難民・避難民を受け入れる道筋(=パスウェイズ)を作り、その自立を後押しする仕組みです。

教育パスウェイズ等の民間主導の難民・避難民の受け入れプログラムは、1980年代にカナダで始まった取り組みを起点に、近年国際的な広がりを見せています。2018年に国連総会で採択された「難民に関するグローバル・コンパクト」では、各国政府による第三国定住を補完する道筋として位置づけられ、各国で導入・拡大が推奨されています。さらに、2023年に開催された「第2回グローバル難民フォーラム」では、以後5年間で20万人の難民を教育や就労を通じて受け入れるという共通目標が宣言されました。

教育パスウェイズの位置づけ
教育パスウェイズの位置づけ
2023年に開催された「グローバル難民フォーラム」で発表する代表理事・折居
2023年に開催された「グローバル難民フォーラム」で発表する代表理事・折居

こうした国際的な潮流の中で、パスウェイズ・ジャパンは日本における教育パスウェイズの実施団体として、2016年の事業開始以来、国内の日本語学校22校、大学18校と連携し、これまでに205名の難民・避難民の若者を日本に受け入れてきました。教育から進学・就職へとつながる一貫した支援を通じて、日本社会での自立を後押ししています。

長期化する人道危機を背景に、応募者数は過去最多の2,056名に

2026年度プログラムでは、シリア、アフガニスタン、ウクライナの3か国の出身者を対象に募集を行った結果、昨年度の1,349名を大きく上回る2,056名の若者から応募がありました。難民・避難民の若者が、教育を通じた将来への道筋を強く求めている現状が改めて浮き彫りになっています。

国別では、アフガニスタンからの応募が1,793名と最多となりました。女性の高等教育や就業の機会が著しく制限されているほか、旧政府関係者、人権活動家、少数民族などが深刻な危険にさらされており、国内外で避難生活を送る若者から多くの応募が寄せられました。

シリアでは、アサド政権崩壊後、一部で帰還の動きが見られるものの、若者が安心して学び、働ける環境が整うまでには依然として時間を要しています。今年度は、従来のトルコに加え、周辺国にも対象を広げて募集を行い、エジプト、レバノン、ヨルダンなどからを含む計141名の応募がありました。

ウクライナからは、ロシアによる侵攻開始から約4年が経過する中でも、国内外で避難を余儀なくされている若者を中心に、122名の応募がありました。大学で日本語を学んだ経験を活かし、日本での進学や就職を目指す若者が多く含まれています。

<応募と採用状況>
応募総数2,056名    来日予定30名

・シリア学生(募集地:避難先各国)
応募141名、来日予定7名

・アフガニスタン学生(募集地:アフガニスタン及び避難先各国)
応募1,793名、来日予定15名

・ウクライナ学生(募集地:ウクライナ及び避難先各国)
応募122名、来日予定8名

昨年の来日時の様子

学びから自立へ――難民・避難民の若者が日本社会で人材として活躍することを目指して

採用された難民・避難民の若者は、来日後、日本語学校で2年間学びながら、日本国内での進学・就職を目指します。円滑に日本での生活を立ち上げられるよう、学生たちは来日前から日本語教育やオリエンテーションを受講し、生活・学習面での準備を進めています。

来日後は、日本語学校での学習に加え、アルバイトを通じて自ら生計を立て、日本社会との接点を広げていきます。パスウェイズ・ジャパンは、受け入れにとどまらず、学びから就労、そして自立へとつながる一貫した受け入れモデルを構築しています。

パスウェイズ・ジャパンの受け入れモデル

これまでのプログラム卒業生のうち、48名がすでに就職またはフリーランスとして自立しており、大学進学後に内定を取得し、今春より就職予定の者を含めると、55名に上ります。今後も、教育や専門性を生かし、日本社会のさまざまな分野で活躍する若者が増えていくことが期待されています。

パスウェイズ・ジャパンは、世界各地で続く人道危機の中で、難民・避難民の若者が未来を切り拓くための新たな選択肢を提供すると同時に、日本社会にとっても新たな人材と出会う機会を創出する、双方に価値をもたらす受け入れモデルの構築を目指しています。今後も、教育機関や企業、様々な団体と連携しながら、取り組みを拡大してまいります。

※難民・避難民の若者の就職に向けた取り組みとして、パートナー団体である特定非営利活動法人WELgeeと連携し「【メディア向け勉強会】ウクライナ侵攻4年 日本における難民人材活躍の広がり」を開催いたします。当日は、代表理事の折居が登壇するとともに、パスウェイズ・ジャパンの就職事例を紹介します。詳細はこちらをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ
公益財団法⼈ パスウェイズ・ジャパン広報担当
Email: office@pathways-j.org

公益財団法人パスウェイズ・ジャパンについて
難民の背景を持つ若者の国外からの受け入れと高等教育を支援。2016年から継続する受入れ・自立支援事業では、現在までにシリア、アフガニスタン、ウクライナから205人を日本に受け入れ、日本語・高等教育を提供し、就職・自立へと導いています。卒業生のうち50名以上が就職(内定含む)。また渡邉利三国際奨学金により年間約20名に奨学金を供与。2021年一般財団法人設立、2024年公益財団法人として認定。