パスウェイズ・ジャパンは、シリア、アフガニスタン、ウクライナの難民・避難民の若者を日本に受け入れ、日本語教育・高等教育を提供した上で、就労を通じて若者達が自らの力で未来を切り拓くためのサポートを行っています。私達が受け入れた学生の人数は現在までに合計205名となっており、卒業生の求職者の内81%が就労または個人事業主として自立し、日本社会で活躍しています。
また、「渡邉利三国際奨学金」を通じて日本の大学・大学院で学ぶ難民・避難民の若者の高等教育を支援するほか、2021年以降アフガニスタンから退避してきた退避者向けの日本語講座を実施するなど、日本に住む難民・避難民の若者が学び、キャリアを拓くための支援をしています。
今回、パスウェイズ・ジャパンが受け入れた若者を含め、日本で暮らす難民・避難民の若者が日本でキャリアを拓くための鍵となる「就活」に向けた日本語講座と、企業と直接面会する「就活セミナー」を開催しました。日本語講座には16名、就活セミナーには22名が参加し、日本の就活に理解を深めながら、 また、セミナーには9社の企業・団体に参加いただきました。
*本日本語講座とセミナーは、日本財団の助成を受けて実施されました。


ー就活日本語講座ー自己分析・企業分析を深め日本語で表現する
日本の就活では、大学で学んだ専門分野の知識や経験だけではなく、コミュニケーションスキルや協調性といった特性が求められるなど、海外からきた若者には馴染みがない独特な方法があります。就活では、日本の企業が求めることを理解した上で、それを日本語で表現する必要があります。
「就活日本語講座」では、PJのプログラム出身で就活を経験した先輩学生や卒業生、さらに日本人の学生ボランティアも協力して、グループワークの中で、自己分析や企業分析を深めました。その後、難民の日本語教育に経験豊富な公益社団法人 国際日本語普及協会(AJALT)の講師にご協力いただき、日本語での自己紹介や企業と面談する際の質問の仕方を学びました。自己分析から自己紹介の内容をまとめるワークでは、自分の経験をどう強みとして表現するか、始めは慣れない参加者も、ボランティアスタッフや講師と話す中で段々と要領をつかんで行きました。そして講座の後半では、多くの参加者が母国を離れ日本で新しい生活を切り拓いた経験等を日本語で企業にアピールできるようになりました。また、企業分析においても、就活セミナーに参加する企業から自分のキャリアの方向性に合う企業を選び、ウェブサイトで情報を調べる方法を学んで、質問を作っていきました。


ー就活セミナー企業と面会し日本語でのコミュニケーションを実践する
企業合同説明会に先立って、一般社団法人 留学生支援ネットワークの久保田学氏に登壇いただき、日本での就職活動の基礎情報をお話しいただきました。講演の中では、様々なデータや各企業の採用サイトなどを示しながら、企業が重視するスキルや企業に向けた自己PRに必要な要素などを具体的にお話しいただきました。学生たちは、熱心に耳を傾けながら、日本の就活で重要なポイントを学んでいきました。
-1024x768.jpg)
その後行われた合同説明会では、9社の企業・団体がブースを設け、参加者たちは、自分のキャリアに合う企業ブースを訪問しました。多くの参加者が事前に「就活日本語講座」での学びを下に、自己紹介や企業への質問を用意しており、企業に興味を持った理由や入社後のキャリアプランなどを各社に合わせて話し、各ブースでは企業の担当者と活発なやり取りが行われました。


<今回参加いただいた企業・団体>
学校法人エール学園
サラヤ株式会社
株式会社資生堂
西濃運輸株式会社
株式会社テンポスホールディングス
株式会社ディースパーク
DENZAI株式会社
パーソルクロステクノロジー株式会社
NPO法人WELgee
参加者からは下記のような感想が寄せられました。
- 最も有用だった点は、大学内での自己紹介とは異なる、日本のビジネス環境における「自己PR」の構成方法を学べたことです。特に価値があったのは、自分の専門分野の知識を持たない相手に対して、分かりやすく説得力のある形で伝えるために必要な語彙や表現を習得できたことです。
- 合同説明会では、同じ業界の企業でも理念や働き方に大きな違いがあることを知り、企業研究の大切さを実感しました。面接では、準備した答えを言うだけでなく、自分の言葉で素直に伝えることの方が相手に伝わりやすいと学びました。
- 仕事を探している人にとって、どんな力や考え方が大事かを学びました。たとえば、日本語の力やチームで働く力などです。
また、参加した企業からも、日本語が採用に必要なレベルに達しており、ポテンシャルがあるなどの声が寄せられ、企業と難民・避難民の若者との良い出会いの場となりました。採用に関心がある企業もおり、今後、各社と連携しながら、インターンシップ等で参加者と企業をつなげていきます。
これからもパスウェイズ・ジャパンは、難民・避難民の若者が日本で自身の目指すキャリアを見つけ、実現できるよう継続的に伴走します。また、企業との協働を通じて、難民の背景を持つ若者が日本社会の貴重な人財として活躍できる未来を共に築いていきます。