パスウェイズ・ジャパンでは、日本に受け入れた難民・避難民の学生が、自身の目指すキャリアを日本で見つけ、実現できるよう、就活に向けたサポートを拡充しています。その取り組みの一環として、「就活のための日本語講座」と企業と面会を行う「就活セミナー」を2024年10月に開催しました。
「就活のための日本語講座」では、就活に必要な敬語などの日本語を学ぶとともに自己紹介や企業への質問の仕方を練習し、その後、「就活セミナー」では、10社以上の企業にご協力いただき、学生は面接練習をしました。2回に行われたイベントと、昨年から就活に取り組んだ先輩学生の話を3回に分けてご紹介します。
第1回は、就活をした先輩学生の体験談を紹介します。2名は、「就活のための日本語講座」の中で自身の体験談を話し、後輩の学生に情報提供してくれました。
シリア出身・アブダッラさんの話
アブダッラさんは、シリアでの内戦勃発後、イエメン、サウジアラビア、トルコと複数の国に逃れた後、2019年に19歳で来日しました。日本語学校で2年間学んだ後、大学に進学し、情報電子工学を学んでいます。現在、大学4年生で、来春より都内のIT企業で働く予定です。
*来日前から日本語学校での経験、大学時代を語ったインタビューはこちらをご覧ください。
大学3年生から本格的に始めた就活では、大学の友人からも役立つ情報を積極的に収集し、応募書類の作成や面接に臨んでいきました。多くの企業が課すSPI試験は、JLPT N1を持っているアブダッラさんでも難しいと感じたようですが、SPI試験のスコアをどの程度重視するかも企業によって異なるため、自分の現在持っている能力や経験を評価してくれる企業を見つけようと努めていました。内定を得るまで多くの企業に応募した経験から「落ちることは自分とは合わないということだから怖がらないで欲しい」と話しました。
また、自分自身がキャリアで実現したいことを具体化し、就活の軸を明確にして就活に取り組んだことも話し、「自分らしいことを選び、それを具体的にアピールしていくことが大切」と話しました。
ウクライナ出身・ソロミアさんの話
ソロミアさんは、幼少期から日本語に興味を持ち、キーウ大学で日本語を勉強していました。ロシアによるウクライナ侵攻により、2022年に来日し、2年間日本語学校で学び、2024年4月からIT企業で勤務し始めています。
*来日前から日本語学校卒業までの経験を語ったメッセージはこちらをご覧ください。
ソロミアさんは日本語学校2年目から就活を始めましたが、就活に関するイベントで日本の就活は早期に開始することを知り、驚きながら、様々なプラットフォームや人脈を活用し、進めていきました。特に、人脈の面では友人たちに企業を教えてもらい応募したことが内定につながったことから、「周りのサポートを得ていくことが重要」と話しました。
日本語力を向上させることはもちろん、専門的なスキル(ハードスキル)を伸ばすため、ITスキルをオンラインコースで学び、資格を取得しました。「自分のスキルを伸ばすよう努めながら自分の強みをアピールすることが大事」と話しました。
入社後の半年間の経験も共有してくれました。半年間は研修として、他の日本人社員とともに、ビジネスマナーやITスキルなど学んでいきました。日本の会社は新人教育のプログラムが整い、未経験者も育ててくれることにとても価値を感じ、「未経験でも不安に思わず応募してほしい」と他の学生に話しました。
先輩学生の話を聞くことで、参加者も日本で就活を進めていくイメージを具体的に持ち、モチベーションを高めることができました。登壇後も、個別に就活について質問する姿が見受けられました。
この後、学生たちは、実際に自分たちが就活を進めるための日本語を学ぶための講座に進みました。次回の報告では、「就活のための日本語講座」の模様をご紹介します。