2017年より難民の学生の受け入れを開始。
シリア、アフガニスタン、ウクライナ3カ国の学生を受け入れています。
ナスチャさん、サムさんにも来日当初から関わっています。
Q パスウェイズ・ジャパンと関わることになったきっかけを教えてください。
元々は、パスウェイズ・ジャパンさんが、難民の方を受け入れ、日本語のサポートをしたいということで、日本語教育の団体に一度お話しされたことがあって、その時に私たち京都民際が何かできないかと話したのがきっかけです。それ以来2年に1回、難民の方を受け入れているという形ですね。
受け入れをするとなった時、そもそも難民という方々の存在を私たちも分かっていない部分があり、そういう方々に何かサポートができるのではないかと思いましたが、実際は何をどこから始めたらいいか分からず、私たちも勉強しながら手探りでやってきた感じです。
Q 受け入れた学生の印象は?
彼らを見てて思ったのは、「帰れない」という前提がある中で、こちらで何とか生活していかなくてはならないと、すごく一生懸命だなということ。日本語を学ぶということもですし、この国でどうやって生きていくか、その一生懸命さを私たちも感じながらサポートしていきました。
サポートも、日本語を学ぶだけでなく、生活のサポートも必要になるので、生活のためのサポートは私たちにとっても勉強になったと思います。後は、メンタル面のサポートですね。国に家族を残している方もいるので、メンタル面のサポートもしています。
「帰れないから日本で何かをやるんだ」という決意が大きいと思いますが、学生たちは2年間の間で、日本語がびっくりするくらい上手になりました。初めは複雑なことになると英語で話していた学生も、今は普通に日本語で話しますし、頼もしいと感じます。自分たちで自分たちのことをしなくてはいけないという意識が強くあり、初めは私たちがサポートしていましたが、すぐに「自分で何とかするので困ったときに相談します」という形に変わり、吸収力はすごく早かったと思います。進路も、入学当初から将来設計をしっかりしているなと感じています。
Q 学校側にも何か変化はありますか?
難民の学生は何に対しても一生懸命で、その一生懸命さは他の学生にも伝わっていると思います。彼・彼女が頑張っているから自分も頑張らないと、と他の学生たちにもいい効果になっていると思います。また難民の学生は学校行事にも熱心で、いろんな行事によく参加してくれるので、いつも一緒に何かができるという感覚があります。
学校としても、難民の方は、日本語を学ぶこともそうですが、生活をする、人生をここでつくっていこうとされているので、私たちが彼らの生活をしっかり支えながら日本語を教えていくという点は、抜けていたわけではないのですが、改めて感じさせてもらったと思います。
Q 今後、学校として目指していることを教えてください。
私たちの学校名の「民際」には国の枠を取り払い、人と人がつながるという意味があります。学校には色々な国の学生がおり、京都は日本の文化の中心地でもあるので、日本語だけでなく、日本文化のことも学んでもらおうと色々なイベントを企画し、また体験してもらい、それを通じて学生同士でつながりを作っていってもらいたいと思っています。そして日本で進学・就職したり、それぞれの国に戻ってからも、学生同士が集まることがあると聞くのはとても嬉しいことです。
日本語学校の役割は、今後、より重要になってくると思います。少子高齢化で働く人材が少なくなり、外国人材を海外から受け入れようとする方向に日本が進む中、日本語学校は、単に日本語を教えるだけでなく、日本の文化や日本でのマナーなどを、留学生だけでなく、日本で働く方にも教えていくと共に、もともと日本に住んでいる地域の方々ともいい関係性をもたらせる存在だと思います。日本語を教えるだけでなく、いい地域の拠点、発信地でありたいと思います。