企業と難民・避難民の若者が共に考える採用と活躍ー企業向けセミナー開催

パスウェイズ・ジャパンでは、日本に受け入れた難民・避難民の若者が、日本で新たなキャリアを実現し、自立できるよう支援しています。こうした若者との出会いは、企業にとっても新たな人財との出会いにつながります。そこで、企業の皆さまに採用や活躍の可能性について考えていただくことを目的に、企業向けセミナー 「難民・避難民の若者と働く―企業の実践事例と対話から考える採用と活躍―」を開催し、8社が参加しました。イベントの開催にあたっては、株式会社資生堂様に会場を提供いただきました。

セミナー前半では、代表理事の折居より、難民・避難民の若者が日本で就職する際の現状や課題についてご紹介し、続いて、実際に難民・避難民の若者を採用した企業と、そこで働く卒業生に登壇いただき、これまでの経験をお話しいただきました。後半では、現在日本で学ぶ難民・避難民の若者と参加企業の方がグループになり、日本社会における留学生採用と定着に向けた課題や、その解決策について意見を交わしました。 難民・避難民の若者と企業の方の間で、活発なやりとりが行われ、双方にとって、新たな気づきや学びを得る機会となりました。 

薬ゼミ情報教育センターの鈴木様からは、自社の海外事業展開の一環としてウクライナ人材の採用を検討し、採用までのプロセスや入社後の支援について紹介いただきました。 採用時には、東京外国人採用ナビセンターのサポートを受け、インターンシップを実施し、業務との適性を確認した上で、採用を決めました。また、在留資格や外国人材との接し方について理解を深めたほか、公的助成金制度も活用し、日本語力の向上を支援しました。実際に入社したネリアさんは、自身の語学力も活かして業務に取り組み、向上心も高いと評価していました。また、社内でウクライナについて学ぶイベントも開催し、「社内の異文化理解が促進され、会社や従業員の資産になっている」とお話ししました。

2022年のロシア侵攻を受け、PJの日本語学校パスウェイズ ウクライナ1期生として来日し、日本語学校で学んだ後、就活を経て入社したネリアさん。 就活を始めた当初は、日本での生活自体に難しさも感じていたそうですが、国際的な仕事に関われること、複数の言語スキルを活かせること、そして何より、インターンシップを通じて「ここなら頑張れそう」という実感がわき、入社を決めたとのことです。入社当初は、ビジネスの日本語に慣れず、上司と部下の関係がウクライナと日本で異なるため適切な敬語表現が分からないといった戸惑いもありましたが、周囲の人に教えてもらったり、自分で調べたりして克服していきました。現在は、事務や翻訳、調整の業務を通じてプロジェクトを支え、誰かの役に立っている時間を持つことができていると活き活きと話してくれました。最後に、企業の方へのメッセージとして、「仕事をすることは、生活の安定と将来を考える一歩となり、未来を信じる機会となります。就労を通じて信頼してもらうことで、(社員の)責任感や会社への貢献につながります」と話してくれました。

お二人の事例を受けて行ったワークショップでは、難民・避難民の若者と企業からの参加者が、採用と仕事における課題や、それに対して企業と学生がそれぞれができることについて、活発な意見交換が行われました。登壇した薬ゼミ情報センター様に加え、難民・避難民の若者を採用している企業の方々や、留学生の採用支援に関わっている参加者もおり、実際の経験に基づいた示唆に富む多くの意見が交わされました。

参加学生からは、これまでの就活の経験を通じて感じている課題として、求められる身だしなみや敬語がわからない、「空気を読む」ようなふるまいができるかの不安、応募要件に日本語能力試験(JLPT)N1レベルなど高い日本語力を求められ応募自体が難しい企業もあること、採用テスト(SPI)などの選考方法の難しさがあげられました。一方、企業の参加者からは、学生から挙げられた不安や課題に対し具体的なアドバイスが寄せられると共に、採用を担当する人事部門と、実際に受け入れる現場との認識の違いといった課題も共有されました。 

また、学生からは、そもそも外国人採用に前向きではない企業も多く、面接まで行かなければそれがわからない場合もあるという課題が出される一方、逆に採用を進めたい企業の参加者からは「外国人材採用に向けてどのようにアプローチすれば一番情報が届くか」と学生に意見を求める場面もありました。

また、今後「できること」として、学生は、日本企業に対する先入観にとらわれず積極的に情報収集することが勧められ、企業側も企業の文化などを学生に知ってもらえるよう発信していくこと、さらに受け入れ体制やキャリア形成の仕組みを整えることが重要であるといった意見がだされました。 学生、企業双方が、フラットな関係でディスカッションする場となったことで、多くの率直な意見が出され、相互に学ぶことができました。


企業からの参加者からは以下のようなコメントが寄せられました。

・就活をしている学生さんのリアルな悩みや企業の課題も詳しく聞けて大変充実した機会でした。
・難民の方と実際にお話しさせていただける機会があり、就職活動に対してどのように考えていらっしゃるのかを知ることができました。
・ワークショップなどを通じて、学生の方々の優秀さを実感することができました。
・日本語力は一定レベルあり、それ以上に思考力やコミュニケーション力に感心させられました。

パスウェイズ・ジャパンでは、今後も、難民・避難民の若者が日本で安心してキャリアを築ける環境を広げるため、企業の皆さまと連携しながら、採用と定着を後押しする取り組みを進めてまいります。 

また、9月18日(金)には、難民・避難民の若者と企業が出会う「就活セミナーと合同企業説明会」を開催いたします。難民・避難民の若者のキャリアへの支援に関心をお持ちの方は、ぜひご参加ください。
▶合同企業説明会の詳細はこちらをご覧ください。