2021年8月のカブール陥落から4年が経過した現在も、アフガニスタンでは深刻な食料不足や人権侵害が続き、多くの人々が故郷を離れざるを得ない状況に置かれています。日本にも、日本大使館やJICAの職員、ODA関連企業社員、NGO職員、日本の留学経験者など、日本とつながりのあった850人以上が退避しましたが、アフガニスタンからの退避者であることを理由とした公的支援制度はなく、日本で生活基盤を築くには依然として多くの課題があります。また、留学中に帰国困難となった元留学生達も、同様の状況におかれています。
パスウェイズ・ジャパンでは、2021年以降、34名の若者を「日本語学校パスウェイズ」を通じて受け入れ、日本で学び進学・就職に向け支援するとともに、「渡邉利三国際奨学金」の提供を通じて、日本国内で高等教育を目指す若者を支援してきました。
*アフガニスタン退避者に関する取り組みはこちらをご覧ください。
加えて、2022年よりアフガニスタン退避者向けの日本語講座「アフガニスタン人のためのしごとの日本語コース」を実施しています。2025年度は、初中級と日本語能力検定試験(JLPT) N3対策の2つの講座を各4か月にわたり開催しました。のべ38名が応募し、選考を経て、のべ31名が受講しました。
授業は、難民向け日本語教育に豊富な経験を有する公益社団法人日本語普及協会(AJALT)の日本語教師が担当し、受講者は、オンライン授業と課題提出を通じて、学習を進めました。また、各講座の後には「フォローアップコース」を設けました。初中級修了者向けには、履歴書作成や面接準備など就職・転職活動につなげるための学習を提供し、N3対策講座では、試験に向けての実践練習を支援しました。
初中級クラスの修了生に行ったアンケートでは、特に話す力と聞く力が受講前より大きく伸び、職場において会話が増え、日本語を話す抵抗感が少なくなったなど、講座での学びが実際の生活・就労に役立っていることが確認されました。N3対策講座修了生については、直近のJLPT N3は、今年度締め切りが早く申し込みが間に合わなかった受講生が多かったものの、今年度中のN3合格を目指しています。
N3対策講座修了生・Bさんの声
2023年に退避者の家族として来日。日本語学校に1年間通った後、現在は介護施設でアルバイトをしながら介護の資格取得に向けて勉強をしています。
「このコースでN3の勉強ができ、感謝しています。宿題も多く出ていたことも、好きでした。仕事をするには、丁寧な日本語が必要です。職場ではおばあちゃん(利用者)と日本語で会話ができてとても楽しいです。漢字も前より読めるようになりました。N3に合格したらN2も頑張ります。
アフガニスタンでは、戦争が続いています。日本は平和で、多くの人が優しく、日本にできるだけ長く住みたいと思います。日本語の習得が大切なので、今も毎日1時間勉強しています。将来は大学で社会福祉を勉強し、家族のために働きたいと思っています。」
これまで受講した受講生のモニタリングも継続しており、2024年度初級修了者は6名全員が仕事に従事、N3対策講座修了者は12名中7名がJLPT N3に合格しており、各講座が受講生の日本での新たな一歩につながっています。
受講生からは、よりよい就労に向けてN2受験のためのクラス開講の要望がよせられており、2026年度はN2受験準備へとレベルをあげて開催する予定です。
アフガニスタンから日本へ退避したり、帰国困難となった人々に対する社会的な理解や支援は、依然として十分とはいえません。パスウェイズ・ジャパンでは、日本語教育を通じて、これらの人々が就労を通じてより安定した生活を築くことに貢献できるよう取り組みを続けていきます。そして、アフガニスタン退避者への理解と協力の輪を少しでも広げ、日本社会で彼らが安心して暮らし、活躍できる環境づくりを目指していきます。
※2025年度事業は、公益財団法人アジア福祉教育財団及び真如苑のご支援によって実施されました。
