2024年度渡邉利三国際奨学金授与式:奨学生のスピーチ

12名の奨学生のうち、以下の学生のスピーチを紹介します。学生たちは、授賞式当日、日本語でそれぞれの思いを語りました。


ミャンマー出身(国際教養学部)

私はアニメや Jpop がきっかけで、日本語に興味を持ちました。その興味から、高校卒業後に「ヤンゴン外国語大学」に入学して、日本語を専攻しました。大学での勉学を通じて、日本への関心が一層深まってきて、日本に留学したいと強く思いました。その夢が実現して、2021 年から1年間、日本語・日本文化研修生として、国費日本留学の機会をいただきました。しかし、コロナ禍における入国制限と2021 年 2 月に発生した軍事クーデターの影響でパスポートの発行が遅れて、一学期はミャンマーで受講することになりました。ミャンマーのインターネットの接続が不安定と頻繁な停電でとても大変でした。そして、2022 年 2 月にやっと来日できて、念願の日本での留学を堪能することができました。

 留学終了後には、ミャンマー国内の状況はより激化して、大学もクーデター派の人々に支配されて、帰国後の大学への復学は難しいと思いました。そこで、日本の大学側の理解と支援を受けて、日本での滞在を継続することにしました。これまでに修得した単位を活用して、3 年次編入試験を受験することに決めました。私が進学のことでもっとも悩んでいた時に、この財団の募集を見つけました。幸いなことに採用されて、財団の経済的な支援のおかげで、再び大学生活を始めることができました。

 現在、大学では主に日本の文化や日本関連の科目、そして上級英語の講義を受講しています。授業の内容は非常に面白く、日々新しい知識を習得しています。そして、大学在学中に日本語教員養成課程の資格の取得を目指しています。

 私の夢は母国ミャンマーで自分の日本語学校を開校することです。日本語の需要が高まっているミャンマーでは、日本語のクラスは多数あります。しかし、教科書上の学習のみを重視しており、実践的な会話練習や文化知識の教養を理解するための環境が不足していると感じています。私は日本語の4技能をバランスよく学ぶと同時に、実用的なコミュニケーション能力や日本での生活に必要なマナーや知識などを提供する学習環境を充実させたいと考えています。しかし、現在の政治状況や徴兵制の導入により、大学卒業後も帰国は難しいと思います。そのため、オンラインで日本語講座を開催して、自分の夢に向かう第一歩を踏み出したいと考えています。これからも一層努力して、立派な日本語の教師になるため、そして少しでも私のように日本語を学習している人の役に立つように努力したいと考えています。改めて、奨学生として採用されたことに心より感謝を申し上げます。

ご清聴ありがとうございます。


ミャンマー出身(大学院修士課程(自然科学))

こんにちは、皆様。
私は熊本大学に留学している学生です。
私は電気工学科の修士1年生です。
私はミャンマー出身なので、皆さんもミャンマーの状況について少しはご存知かと思います。
ミャンマーでは2021年2月に軍事クーデターが発生しました。
その後、タトマドーと呼ばれる軍が大統領と閣僚を逮捕しました。
彼らは多くの民主主義活動家を逮捕しました。ミャンマー国民はクーデターを受け入れず、軍部に対して革命が起きました。
状況はますます悪化しています。
現在の経済状況と生活水準は低いです。
十分な食事が取れない人もたくさんいます。私は軍に対する反対運動に参加しました。そしで、空爆により家を離れて避難している人々に食料や医薬品を寄付しました。一方で、これまでの交換留学や研修を通じて、日本のいくつかの大学とも交流がありました。そこで教授たちに連絡を取ろうとしたところ、教授たちと入学試験官の推薦とサポートを受けて入学することができました。
それで、幸いなことに、私はここで勉強する機会があり、奨学金も得ました。そしてこの奨学金をうまく活用して研究で良い結果を出したいと思います。
この奨学金のおかげで、私はさらに勉強に集中することができます。ですから、パスウェイズ・ジャパンの奨学金にはとても感謝していると言いたいと思います。
私のスピーチはこれで終わります。皆様、本当にありがとうございました。


トルコ出身(大学院修士課程(社会学)専攻)

この度は渡邊利三国際奨学金の奨学生に採用していただき、誠にありがとうございました。
私は大学院で社会学を学びながら、無登録移民の若者に関する研究を行っています。

私は 9 歳の頃に母と来日しました。トルコでは村の小学校に通ており、クルド語での会話が禁止され、クルド語で話すと先生から定規で手をたたかれるなどの暴力を受けていました。父は政治的な理由でトルコを逃れ私が 1 歳の頃に来日し、9 歳までは会うことなく、日本に来てやっと父に会うことができました。

来日後約 14 年間無登録の状態で、仮放免者として生活してきました。県外移動の禁止、就労の禁止、住民登録ができず、保険証を持つことができないなどの様々な制約とともに収容可能性に怯えながら生活していました。

高校生の時から難民に興味を持つようになり、国連 UNHCR の職員になりたいという夢を持ち、そのために大学進学を決定しました。行きたかった大学から受験を受けることさえ拒否され、入学できる大学を見つけても、在留資格がないため奨学金の申し込みもできず、進学をあきらめそうになったこともありましたが、叔父の支援を受け何とか大学に通うことができました。

大学では 4 年間で難民や国際関係・国際情勢について学びました。また、無登録移民に関する研究で卒業論文を書きあげ、通っていた大学において「2023 年度最優秀論文賞」を受賞することができました。

今年度進学した大学院では、社会学の視点を身につけ、大学で行った研究をより深めて、無登録状態の移民の幼少期に親と来日した 1.5 世と日本生まれの 2 世の生活の現状、将来への展望について研究したいと思っています。

私と家族は 2023 年 12 月に在留資格をもらい、現在は病院等に多額の借金を返済しながら生活を送っています。学費の支払いが困難であり、大学院への進学をあきらめることも考えていましたが、渡邊利三国際奨学金が私の大学院進学を可能にしてくれました。本当にありがとうございます。

将来は国連 UNHCR 職員になって、社会の役に立ちたいです。
ご清聴ありがとうございます。


シリア出身・アブドゥッラハマンさん(工学部(機械工学))

皆さん、こんにちは。私は、足利大学工学部で学んでいます。

まず初めに、パスウェイズ・ジャパン、渡邉利三国際奨学金、支援者の皆様へ感謝の伝えたいと思います。自分の夢を実現させるための道を切り開いてくださり、心より感謝しております。ありがとうございます。

さて、この1年間、たくさんことにチャレンジしてきました。学業に関わる分野の単位をたくさん取ってきました。2年生になって、人工知能創造プロジェクトといった科目を履修しました。その中で、専門知識について学習することができました。

1番印象に残っているのは、創造性プロジェクトという科目です。このプロジェクトでは、それぞれの学生が、0からプロジェクトを作ります。私は、前期では学生用のアプリを作成しました。支出と収入を計算し、貯金ができるかどうか計算できるというものです。後期では、別のウェブサイトを作成しました。学内のみで使用できる学生用のSNSのウェブサイトです。この2つのプロジェクトは非常によい経験になったと思っています。

そして、学業以外のことにもたくさんチャレンジをしました。2つの部活動、スポーツクラブとGLP(global Link Program)に入りました。そのため、たくさんの友達を作ることができ、友達とゲームをしたり、イベントしたりして交流を深めました。

先週は、私の誕生日がありました。今思い出すと1年生の時は、1人でケーキを買ってお祝いしました。しかし、今年は家に日本人の友達を読んでパーティーをしました。13名ほどが集まりました。1年生の時と比較すると、自分自身で成長を感じられ、嬉しく思います。

アルバイトについてです。去年からはGUでアルバイトをしていたのですが、今は退職して、AIを使用している日本の会社で長期インターンとして活動をしています。自分にとってこの経験は誇りに思います。自分のやりたい仕事の経験を重ねることができ、非常に大切にしています。

大学の勉強や日本語能力試験一級合格に向けて頑張りたいです。日本語の勉強もしっかり行い、後期からの就活に向けて、準備を進めたいです。プログラミングに関わる資格(基本技術者など)も取っていきたいです。この目標に向かって頑張りたいです。よろしくお願いします。


シリア出身・ヌーラさん(社会学部(心理学))

私は、恵泉女学園大学の学生です。おかげさまで日本の大学で勉強することができています。日本語で勉強することは、最初は大変でした。でも、シリアの友達、日本の友達、大学の先生方の協力のおかげで少しずつ楽になってきました。

2年生の春学期に事故にあってしまい、そのことが非常にショックでした。今振り返るとその時期はとても大変でした。回復後は、これまで以上に努力し大学の勉強に集中しています。今学期はすべての授業でいい点数を取ることができるよう頑張っています。

その事故のせいでアルバイトも辞めざるを得なくなりました。しかし、その後近くのファミリーマートでアルバイトを始めることができました。

皆さんのお力と配慮がなければ、私は立ち直ることができませんでした。大学の先生方も来ていただきありがとうございます。

私は、大学卒業後、カウンセラーとして働きたいと思っています。そのため、日本語能力試験一級取得に向けて勉強しています。大学の勉強と日本語の勉強を頑張ります。

また、大学生活、アルバイト、カウンセラーになるための資格取得に向けて、大学の先生や、キャリアセンターとも相談しながら進めていきたいです。


ミャンマー出身・へインイェセさん(工学部(建築学))

私はものつくり大学2年生のへインイェセと申します。ミャンマー出身です。

この度は、去年の1年生でどんなことに取り組んできたかスピーチさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

まず、最初に、本日はお忙しい中このような授与式を開いていただいてありがとうございす。

私は、ものつくり大学で建築学について勉強しております。主に4つの分野があり、設計、構造、仕上げ、木造という専門分野があります。昨年の1年間で、すべての分野の勉強を行い、知識や技術を身に着けてきました。その中でも、構造の授業を1番よく頑張りました。私は将来建築物の耐震性に関わる構造設計をしたいので、今後は構造コースを専門にして頑張りたいと思います。今年の6月から構造の勉強をするためにインターンシップに行く予定もあります。そのインターンシップから身につける色々な経験を活かした上で、自分の知識を深くして、引き続き頑張っていきます。

以上を持ちまして終わりにしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。


ミャンマー出身(大学院博士課程(情報工学))

皆様、こんばんは。

私は筑波大学の博士後期課程2年生です。

このような素敵なイベントに参加させていただきありがとうございます。それに皆さんとお会いできて嬉しくたまらないです。

私にこの機会を与えてくださり、研究にも支援してくださった財団に心から感謝申し上げます。

私たちはさまざまな背景や困難を抱えています。しかし、私たちに共通しているのは、深刻な問題を抱えている国から来ているということです。

私はミャンマーの大学で教師をしていましたが、今は大学を離れ、日本での高等教育を受けるために勉強しています。

家族からの援助もなく、経済的な問題で苦労しています。

財団の支援して下さっておかけ様で研究を順調にできて、より勉強にも集中できるようになりました。本当にありがとうございました。

できれば、学業を終了後、国に戻ってできる限りの貢献をしたいと思っています。

その一方で、この数日のうちに日本の社会でうまく生きられるようになりたいと思っています。

日々の勉強や経験で得た技術や知識を生かし、日本の社会で生き抜き、貢献できると信じています。

私は日本語があまり流暢に話せなくて申し訳ありません。

私のスピーチは以上です。

最後まで私にスピーチを聞いてくださって本当にありがとうございました。

ご清聴ありがとうございました。