高等教育支援事業

パスウェイズ・ジャパンの「高等教育支援」事業は、日本で暮らしている難民や、難民の状況となって国外から日本に受け入れられた人々の内、進学機会の限られている人々に対して、渡邉利三国際奨学金にによって高等教育の機会を提供しています。

渡邉利三国際奨学金は、難民の状況になった人々の高等教育への進学率が、全世界で6%と、一般の若者に比べて著しく低いことから、寄付者渡邉利三氏の強い意志に基づいて設立されました。難民の状況となった人々の大学への進学を支援し、高等教育を受ける権利と機会が制限されている状況の改善と卒業後の就職、そして若者達の夢の実現に寄与することを目的としています。

2023年度渡邉利三国際奨学金 奨学生募集(締切2023年1月25日20時)

2023年度の渡邉利三国際奨学金の募集を、2022年12月5日(月)から2023年1月25日(水)まで行っています。この奨学金は、未だ安定した在留資格を得ていない難民の若者達を対象に、大学・大学院進学のための奨学金(学費等と生活費補助)を提供する、日本では数少ないプログラムの一つです。シリア、ミャンマー、アフガニスタン、ウクライナ等、最近の紛争や迫害で日本に逃れざるを得なかった、あるいは帰国が困難となった多くの若者達に、未来への道筋を提供します。

奨学金のオンライン説明会を開催します。応募を検討している方は、どうぞお気軽にご参加ください。お申し込みはこちらから
第1回:2022年12月23日(金)19:00-20:30
第2回:2023年1月14日(土)17:00-18:30

奨学金設立に寄せた渡邉利三氏からのメッセージ

(この奨学金設立に際して、寄付者渡邉利三氏から寄せられた、難民の経験を経た若者達へのメッセージをお届けします。)

私は多くの難民を受け入れてきたアメリカで長い間仕事をしてきました。祖国を逃れ、難民としてアメリカで高等教育を受け、アメリカの社会に溶け込んで活躍してきた人たちを私はたくさん見てきました。アメリカはベトナムからの難民を多く受け入れ、彼らに高等教育の機会を与え、多くの難民たちがアメリカの社会で活躍しています。2022年3月に亡くなったアメリカ初の女性国務長官オルブライト女史は東欧からの難民でした。彼女は難民の子供としてアメリカで高等教育を受け、のちにクリントン政権で国連大使、そして、国務長官として活躍しました。

日本は長い間難民を受け入れない国でしたが、私は日本へ逃れてきた難民の人たちも、日本で高等教育を受ける機会を与えられることにより、日本社会でも活躍できることを皆さんに証明してもらいたいのです。私は日本が他の先進国並みに多様性を受け入れる国になることを願ってこの奨学基金を創設しました。皆さんは日本で高等教育を受けたのち日本社会で活躍するかもしれません。また、将来、祖国に帰って活躍するかもしれませんが、それはそれで結構です。しかし、いずれにせよ皆さんが日本と祖国の架け橋になることを私は望んでいます。

皆さんの夢が何であれ、自分自身のものにしてください。

渡邊利三

プログラムの概要

■奨学金給付内容

(1)学費
年額170万円以内(施設管理・維持費、実験実習費等その他教育機関が必要とする経費については、経済状況に応じて個別に支給を決定します。)
※応募時点の経済状況や他の奨学金等の受給状況を考慮の上、支給額を決定します。

(2)規定に基づく生活費補助
学部1-2年:月額最大7万円
学部3年:月額最大6万円
学部4年及び大学院:月額最大5万円
※応募時点の経済状況や他の奨学金等の受給状況を考慮の上、支給額を決定します。

※給付型奨学金のため返済は不要。
※他の奨学金との併用:併用可。また、他の奨学金等の獲得の努力を奨励、評価します。

応募資格

次の各項のすべてに該当する人。

  • 難民の背景を持っている人で、定住の在留資格を持っておらず、留学、特定活動、技術・人文知識・国際業務、家族滞在等の在留資格で日本に暮らしている人。
    (以下のいずれかに該当する人)
    *外国政府または日本国外の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によって、難民として認定されるか、国際保護の対象となっていた人
    *補完的受け入れ(Complementary Pathways)プログラムを通じて日本に受け入れられた
    *紛争や政変等で祖国への帰国が困難となっている人
  • 外国もしくは日本において学校教育における 12 年の課程を修了した人、または入学しようとする年の 3 月までに修了見込みの人、またはこれらと同等以上の資格があると奨学生選考委員会が認めた人
  • 経済的な理由等によって日本で高等教育への修学が困難な人
  • 高等教育を受け、卒業後就職するのに必要な日本語とその他の語学力を持っており、その証明となる試験のスコアを提出可能な者
    *日本語での学部受験:日本留学試験(EJU)または日本語能力検定試験(JLPT)の受験必要科目
    *英語での学部受験:必要な英語力を証明する試験とJLPT N5-4程度以上、または同等の資格
    *大学院受験:必要な英語力を証明する試験とJLPT N5-4程度以上、または同等の資格
  • 本奨学金の奨学生採用の前後を問わず、大学または大学院に合格した者

応募方法

① 募集要項をダウンロードしてよく読み、応募資格を満たしていることを確認する。
② 応募フォームをダウンロードして記入する。
③ 卒業・成績証明、難民の背景を証明する書類、語学力証明書類、経済状況証明書類、推薦状等の必要書類を揃える。
④ 1月25日の締め切りまでにオンライン応募フォームに以上の書類をアップロードして提出する。(締め切りは20時)

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2022年度渡邉利三国際奨学金募集報告と奨学生

2022年度は、公益財団法人パブリックリソース財団が実施する「渡邉利三国際奨学基金」について、業務を受託する形で奨学金事業を実施しました。そして、同財団より2021年4月に3名、同年9月より2名、合計5名の難民の背景を持つ若者が奨学金を受領しました。パブリックリソース財団による2022年度募集要項はこちらからご参照ください。

2022年度奨学生概要(パブリックリソース財団による奨学金助成)

在学先
学部 心理学
工学
1
1
大学院 工学
MBA
1
1
研究助成 保健医療 1
性別 女性
男性
1
4
国籍 シリア
アフガニスタン
4
1
移住地 首都圏
関東
関西
2
2
1

2022年度奨学金授与式

2022年4月25日(月)、新型コロナウィルス感染症対策の一環でオンラインとなりましたが、奨学金授与式及びその後の記者会見をパブリックリソース財団との共催にて行いました。当日は在京の複数のメディア関係者の参加があり、ウクライナ避難民への奨学金供与の可能性を含めて、今後の展開に関する質問が多く寄せられました。
受賞式の詳細はパブリックリソース財団のウェブサイトに掲載されていますので、ぜひこちらからご参照ください。

開催概要

日時:2022年4月25日(月)15時~16時30分
方法:オンライン対象者:メディア及び招待
プログラム:奨学金プログラム報告と選考委員会からの総評
奨学金プログラム報告と選考委員会からの総評
贈呈所授与と奨学生スピーチ
寄付者渡邉利三氏ビデオレター
来日を待つウクライナ留学生からのビデオメッセージ
シンポジウム:「奨学金が難民支援に果たし得る役割」
【シンポジスト】加藤暁子(公益財団法人AFS日本協会理事長/ 日本の次世代リーダー養成塾)、小川玲子(千葉大学教授)、スヴィドラン・オレナ(日本ウクライナ友好協会KRAIANY)

受賞記念スピーチで、多くの人々への感謝と学業での研鑽の決意を語ったシリア留学生
日本への避難後に高等教育を受けたいと希望を語るウクライナからオンライン参加の留学生